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ほのぼのの章

稀なダンピール

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バンパイアのテロリスト<ヴァルシュピニア>が現れたことにより戦場と化したテーマパーク内で、ヴァーミリオンは園児達を守っていた。

けれど、そんな市民の被害もお構いなしとばかりに、対ヴァルシュピニア特殊部隊は容赦ない攻撃を加えていく。

実は、バンパイアは日光を浴びただけではすぐには死なないがある程度はダメージがある為、バンパイア用の日除けクリームが開発されていたのだが、それは汗に弱く、汗をかくとすぐに流れ落ちてしまう性質があった。しかし、バンパイアは普段はほとんど汗をかかないことから、日常的な使用では問題になるような欠点ではなかった。

だが、激しい運動をした場合には話が別である。ある程度以上の運動をするとさすがにバンパイアも汗をかく。だから、対ヴァルシュピニア特殊部隊の狙いはそこだった。

凶悪で強靭な強さを誇るヴァルシュピニアとて、直接日光を浴びればダメージを受けて動きが鈍る。そのために絶え間なく攻撃を続け、汗をかかせることで日除けクリームを落とさせ日光によるダメージを与え、それによって追い詰めようというのが作戦だったのだ。

だから市民の被害も厭わず、激しい攻撃を加えたのである。

さりとて、ヴァルシュピニアは狡猾でもあった。ゆえに、十年の長きにわたって世界中の警察や諜報組織や特殊部隊を敵に回してでさえ生き延びられてきたのだろう。

汗をかいて日除けクリームが流れてきたと感じると、パーク内のショップに突入。スプレータイプの日除けクリームを銃で撃ち破裂させ、吹き出したそれを浴び、補った。

それだけでなく、自らの手荷物にも十分な量のそれを忍ばせていて、随時浴びるということを繰り返した。

それでも、無限ではないということで、特殊部隊は波状攻撃を加え追い詰めようとする。

ただ、巻き込まれた市民の方はたまらない。阿鼻叫喚の地獄絵図と化したテーマパーク内を、ヴァーミリオンは園児達を庇いつつ逃げる。

しかし、逃げながらもヴァーミリオンはヴァルシュピニアの動きを目にして、

『自分なら勝てる……?』

と感じていた。

それはただの思い上がりや勘違いや錯覚ではなく、動物的な本能からくる直感だったのかもしれない。

事実、人間とバンパイアの混血であるダンピールには、稀にバンパイアをはるかに凌ぐ能力を有して生まれてくる者がいた。ヴァーミリオンがまさにその<稀なダンピール>だったのである。

その直感を得た瞬間、ヴァーミリオンに激しい感情が込み上げてきたのだった。

『父さんと母さんの……仇……っ!!』

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