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平穏の章

批判を批判するな

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「自分の気に入らんアニメをいちいちクソほど叩く連中は、こと自分が批判されると、

『批判を批判するな』

とか寝惚けたことを言う。自分のやってることが『単なる<批判>じゃなく、ただの悪口雑言になってる』から批判されるのだということに気付かんらしい。

特に、そのアニメを『面白い』と感じてる人間を貶してるのが余計だと何故気付かんのかな。

自分のやってることが純粋に<アニメに対する冷静な意見としての批判>だと言うのなら、そのアニメを面白いと感じてる人間まで貶す必要がどこにあるというのだ?

<アニメに対する意見>ではないではないか。

『そのアニメを面白いと言ってる奴は何が面白いのか具体的に述べてない』

とか、それのどこが<アニメに対する意見>なんだ? 

『他人が自分のアニメに対してどういう意見を持ってたところで自分が面白いと思うのならそれでいいだろう。いちいち批判を批判するな』

とか言うのなら、アニメそのものに対する冷静な意見を述べるのではなくて、自分の気に入らんアニメを面白い・好きだという人間を貶す輩を放っておくのは何故なのだ? 

それは結局、『そのアニメに対して批判的』ということで自分に同調してくれそうな相手だからではないのか?

アニメという、自分に反撃してこない相手は一方的に叩きたいが、反撃してくるかもしれない相手とは関わりたくないということか?

何たる卑怯者。

こういうことを言うとまたバカにしてくる輩がいるのだろうが、そういう奴らも、自分が賛同できる意見をこういう形で発信したりすると持ち上げるのだ。

なんというダブルスタンダード。

それ自体が、『単に自分が良い気分になりたいから叩きやすい相手を叩いている』という証拠に外ならんだろうな」

拳を握りしめ熱く語るアオに、さくらはやっぱり困ったように微笑みながら、

「今日も絶叫調ですね」

と恒例のセリフを返した。

「応よ! 今期も例によってクソほど叩かれてるアニメがあるんだが、どうにももうそれが情けなくてな。

一期の時に作品内で語られていた、

『相手は自分とは違う』

『互いの違いを認め合う』

という部分から何も学ばずに、自分が気に入らない相手をクソほど叩き、貶めるのだ。そんなことをしているからアンチから嫌われるんだというのが分かってない。

『自分の好きな作品が貶められたんだから許せなくて当然だ!』

とか言いたいんだろうが、その作品の中で長年対立関係にあり争っていた者同士が、

『お互いに自分にとって都合の悪い相手』

という部分を乗り越えて和解したというエピソードもあったというのに、『気に入らない』という理由でコキおろすのだ。

そういう自分の振る舞いこそが作品を貶めているのだと何故気付かんかなあ。

私の作品のファンだという人がそんなことをしていたら、私は悲しくて仕方ないよ」

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