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ミハエルの章
いたいけな少年
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『ようこそ、ミハエル。私はあなたを歓迎します♡』
満面の笑顔でそう言われて、ミハエルは照れくさそうにはにかんだ。
「よろしく、お願いします」
と、改めて頭を下げる。その仕草がまた、たまらない。
『くっはぁ~! ゾクゾクくるぅ~っ♡』
背筋を奔り抜ける痺れるような感覚に、霧雨は見悶えた。思い切りその場で転げまわりたくなるのを必死で抑えつけ、
<頼りになるお姉さん>
もしくは、
<忠実なる臣下>
を演じようと心掛けた。もし彼のような存在に出逢えた時にはそうしようとずっと心に決めてきたことだった。
『私より年上らしいけど、そんな細けぇこたぁいいんだよ! それに彼らの仲間内ではまだまだ子供だって言うし、だったら<ショタ>扱いで万事OK♡』
こうして、恋人いない歴=年齢のラノベ作家<蒼井霧雨>と、吸血鬼の少年?ミハエルとの奇妙な共同生活が始まったのである。
しかし、ミハエルはとにかく不思議な少年?だった。
見た目そのままのあどけなさの中に、奇妙に大人びた部分が混在していて、それがまた何とも言えない<魅力>だった。
『なるほどこれは、見た目通りの年齢じゃなさそうだな~』
特にそれを意識させられるのが、
「お世話になるんだから、これくらいしないと」
と彼自身が言い出して始めた家事である。彼女の方としては、
「そんな! 誉れ高きノスフェラトゥにそのようなことをしていただいては…!」
などと慌てたが、
「平気だよ。ずっとママの手伝いをしてきたし、ママが亡くなってからは十年ほど一人で暮らしてたから、慣れてるんだ。それに、掃除とか料理とか、好きだから」
と言われては、恐縮しながらも、
「そうですか…それじゃ、お願いします……」
と応じるしかなかった。
実際、彼の家事はとてもてきぱきとしていて『慣れている』というのが事実だと感じさせられた。
だけどそれだけに、
『ママが亡くなってから十年ほど一人で暮らしてたっていうのも本当なのかもね……』
そう思わされて、胸がキュッと締め付けられる。
自分より年上だというのが本当なら別に何も不思議なことではない筈でも、やはり見た目に<いたいけな少年>であることには変わりない訳で、
『こういうのを<けなげ>って言うんだろうな~♡』
とは思わされた。
それに何より、自分よりもよっぽど家事が上手い。
『ははは…こりゃ勝てんわ~…』
正直、決して『きれい』とは言い難かった彼女の家が、見る間に整理整頓されていく様子に、敗北感すらある。
「ホントに、面目次第もございません」
脱ぎ散らかされた下着すらきちんと洗濯ネットに入れて洗濯してくれる姿に、彼女は床に手をつけて頭を下げたのだった。
『これのどこが<頼りになるお姉さん>じゃ~い!!』
満面の笑顔でそう言われて、ミハエルは照れくさそうにはにかんだ。
「よろしく、お願いします」
と、改めて頭を下げる。その仕草がまた、たまらない。
『くっはぁ~! ゾクゾクくるぅ~っ♡』
背筋を奔り抜ける痺れるような感覚に、霧雨は見悶えた。思い切りその場で転げまわりたくなるのを必死で抑えつけ、
<頼りになるお姉さん>
もしくは、
<忠実なる臣下>
を演じようと心掛けた。もし彼のような存在に出逢えた時にはそうしようとずっと心に決めてきたことだった。
『私より年上らしいけど、そんな細けぇこたぁいいんだよ! それに彼らの仲間内ではまだまだ子供だって言うし、だったら<ショタ>扱いで万事OK♡』
こうして、恋人いない歴=年齢のラノベ作家<蒼井霧雨>と、吸血鬼の少年?ミハエルとの奇妙な共同生活が始まったのである。
しかし、ミハエルはとにかく不思議な少年?だった。
見た目そのままのあどけなさの中に、奇妙に大人びた部分が混在していて、それがまた何とも言えない<魅力>だった。
『なるほどこれは、見た目通りの年齢じゃなさそうだな~』
特にそれを意識させられるのが、
「お世話になるんだから、これくらいしないと」
と彼自身が言い出して始めた家事である。彼女の方としては、
「そんな! 誉れ高きノスフェラトゥにそのようなことをしていただいては…!」
などと慌てたが、
「平気だよ。ずっとママの手伝いをしてきたし、ママが亡くなってからは十年ほど一人で暮らしてたから、慣れてるんだ。それに、掃除とか料理とか、好きだから」
と言われては、恐縮しながらも、
「そうですか…それじゃ、お願いします……」
と応じるしかなかった。
実際、彼の家事はとてもてきぱきとしていて『慣れている』というのが事実だと感じさせられた。
だけどそれだけに、
『ママが亡くなってから十年ほど一人で暮らしてたっていうのも本当なのかもね……』
そう思わされて、胸がキュッと締め付けられる。
自分より年上だというのが本当なら別に何も不思議なことではない筈でも、やはり見た目に<いたいけな少年>であることには変わりない訳で、
『こういうのを<けなげ>って言うんだろうな~♡』
とは思わされた。
それに何より、自分よりもよっぽど家事が上手い。
『ははは…こりゃ勝てんわ~…』
正直、決して『きれい』とは言い難かった彼女の家が、見る間に整理整頓されていく様子に、敗北感すらある。
「ホントに、面目次第もございません」
脱ぎ散らかされた下着すらきちんと洗濯ネットに入れて洗濯してくれる姿に、彼女は床に手をつけて頭を下げたのだった。
『これのどこが<頼りになるお姉さん>じゃ~い!!』
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