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最終章
何度心が折れそうになっても
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赤島出姫織は、ここまでにももう何度もそうやって落ち込んでは気を取り直してということを繰り返していた。
というのも、実はこの少し前にも、滅茶苦茶に食い荒らされた左近瑞優星を見付けてしまったりもしたのだ。
「左近瑞くん……」
この時点では酷く取り乱すこともなかったものの、赤島出姫織はたまらない気分にはなっていた。胸の奥がなんとも言えない感じになって、腕を突っ込んでぐちゃぐちゃに掻き毟りたいような気分にな。
まともに恋もしたことのなかった人生だったが、それがようやく、多少なりとも普通の人間のそれに近いような何かが得られそうな感じがしていたところにこれだから、まあ、内心では叫びたいほどだったのかもしれん。
それでもこいつは歯を食いしばって自分を奮い立たせた。
『こんなことで負けてられない…!』
と自分に言い聞かせた。
落ち込んでなどいられない状況であることも分かっているのだ。だからその度に自分を奮い立たせる。自らそれができる程度には成長していた。
故に今度もそうするのである。
『泣いてられない…! 泣いてられない…っ! 今は戦うんだ! 泣くのは全部終わってからだ……!!』
涙を拭い、自分の家を後にして、次の化生を求めて走る。その顔は、涙を拭う度に戦う者の顔へと変わっていった。何度心が折れそうになっても立ち上がり、戦う。
自分にはそれしかできないのだから。
魔力を込めた剣を振るい、少女は戦った。いつまでなどと考えることもなく、ただひたすらに。
そんな赤島出姫織の想いも流れ込んでくるのを感じながら、私はハリハ=ンシュフレフアを待ち構えた。しかし、私よりも黄三縞神音の方が猛っているのは分かっていた。人の形を取り戻せる程度には落ち着いているが、結局のところ今度のことはハリハ=ンシュフレフアの所為だと感じているからな。母親の死も、奴の所為だと。だから、元々の因縁を別にしてでも奴とはやり合いたいのだろう。それを抑え切れず、黄三縞神音は言い放った。
「おそい! こっちからいく!!」
止めても無駄だということも分かっていた。だから私は、爆発するかのように地面を蹴って宙へと舞い上がり、第三宇宙速度さえ超えて飛び去って行くのを見送ったのだった。奴が片付けてくれても結果としては私の勝ちになる。それで済むなら儲けものだ。漁夫の利というのも嫌いじゃない。お前が勝ったら真っ先に母親を、黄三縞亜蓮を巻き戻してやる。
精々頑張ってきてくれ。万が一駄目でも、お前にもちゃんと仕込んであるからな。
というのも、実はこの少し前にも、滅茶苦茶に食い荒らされた左近瑞優星を見付けてしまったりもしたのだ。
「左近瑞くん……」
この時点では酷く取り乱すこともなかったものの、赤島出姫織はたまらない気分にはなっていた。胸の奥がなんとも言えない感じになって、腕を突っ込んでぐちゃぐちゃに掻き毟りたいような気分にな。
まともに恋もしたことのなかった人生だったが、それがようやく、多少なりとも普通の人間のそれに近いような何かが得られそうな感じがしていたところにこれだから、まあ、内心では叫びたいほどだったのかもしれん。
それでもこいつは歯を食いしばって自分を奮い立たせた。
『こんなことで負けてられない…!』
と自分に言い聞かせた。
落ち込んでなどいられない状況であることも分かっているのだ。だからその度に自分を奮い立たせる。自らそれができる程度には成長していた。
故に今度もそうするのである。
『泣いてられない…! 泣いてられない…っ! 今は戦うんだ! 泣くのは全部終わってからだ……!!』
涙を拭い、自分の家を後にして、次の化生を求めて走る。その顔は、涙を拭う度に戦う者の顔へと変わっていった。何度心が折れそうになっても立ち上がり、戦う。
自分にはそれしかできないのだから。
魔力を込めた剣を振るい、少女は戦った。いつまでなどと考えることもなく、ただひたすらに。
そんな赤島出姫織の想いも流れ込んでくるのを感じながら、私はハリハ=ンシュフレフアを待ち構えた。しかし、私よりも黄三縞神音の方が猛っているのは分かっていた。人の形を取り戻せる程度には落ち着いているが、結局のところ今度のことはハリハ=ンシュフレフアの所為だと感じているからな。母親の死も、奴の所為だと。だから、元々の因縁を別にしてでも奴とはやり合いたいのだろう。それを抑え切れず、黄三縞神音は言い放った。
「おそい! こっちからいく!!」
止めても無駄だということも分かっていた。だから私は、爆発するかのように地面を蹴って宙へと舞い上がり、第三宇宙速度さえ超えて飛び去って行くのを見送ったのだった。奴が片付けてくれても結果としては私の勝ちになる。それで済むなら儲けものだ。漁夫の利というのも嫌いじゃない。お前が勝ったら真っ先に母親を、黄三縞亜蓮を巻き戻してやる。
精々頑張ってきてくれ。万が一駄目でも、お前にもちゃんと仕込んであるからな。
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