JC邪神の超常的な日常

京衛武百十

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最終章

広田

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おそらく私との間にできてしまった因縁が悪運として作用したのだろう。だが、これはいいところで出会った。

「広田! お前も手伝え!!」

私は、呆然としている広田を引きずり起こしつつ髪を植え付けて筋力と防御力も強化してやり、また鉄砲足軽の姿にしてやった。だが今度は、以前よりはずっとマシな赤揃えの甲冑姿だったが。

「!? カッコいい!!」

割れたガラスに映った自分の姿を見て、広田が興奮する。と同時に、さすがに経験者だけあって、すぐさままた例の<無限ガトリングガン>を実体化させ、群がってきたレゼヌゥケショネフォオアの仔ら目掛けて派手にぶっぱなす。

「うおっしゃあぁーっっ!!」

さっきまで泣きべそかいてたクセに、力を得た途端に威勢よく吼える広田に、

『相変わらずこいつは力を持つとタガが外れるな。なるほど刑事には向かん』

しみじみ思う。

その時、私の頭の中に響く声があった。

「今川さんが家に来ましたよ」

石脇佑香いしわきゆうかの声であった。

私の家に今川いまかわが来たと聞いて迎えに行き、こうして戻ってきたということだ。

「広田!? お前もか!?」

化生共を相手に無限ガトリングガンをぶっ放していた広田に向かい、今川が声を掛けた。

「あ、今川さん、お久しぶりです。お互い、巻き込まれちゃってますね」

困ったような苦い笑顔を浮かべながら広田が応えた。

「まったくだ」

と呟く今川の顔がどこか嬉しそうに見えたのは、広田が無事だったことについてかも知れん。そんな今川に私は言う。

「お前は雑魚の相手をしてくれればいい。やりたいようにやれ。ただし、あの白いトカゲみたいな奴はこっちの味方だ。間違って斬るなよ」

化生共を相手に獅子奮迅の活躍をしているエニュラビルヌを見つつ、私は今川に念を押した。

「承知した」

短く応えた今川の全身にピリッとした緊張が漲る。力を練り上げ蓄えているのが分かった。飛び掛かってきた<悪辣なる蜘蛛>ベニュレクリドゥカニァを一刀のもとに切り捨てる。さっき新伊崎千晶にいざきちあきに潰された奴に比べればまだ小さく弱い個体だったが、それでもこいつ、人間のクセに本当に大した奴だ。下手をすると今の月城こよみを除けば今川が一番強いかも知れん。

そして化生共を任せ、私は再び、<狂える母神>レゼヌゥケショネフォオアと相対した。私に対して凄まじい憎悪が向けられているのを感じる。

レゼヌゥケショネフォオアとしてはもちろん、玖島楓恋くじまかれんとしても、大切な男を殺した相手として恨んでいるのだろう。人間としての意識の殆どを失い、もう私が日守かもりこよみであるということさえ分かっていなくても、貴志騨一成きしだかずしげのことだけは覚えていたということだ。まったく、幸せな奴だ。貴志騨一成も。

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