JC邪神の超常的な日常

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
480 / 562
最終章

アピール

しおりを挟む
今度は物理干渉そのものを拒絶してやったから、さすがにミサイルの直撃であろうとどうということも無かった。

「む…?」

ただ、私は平気だったが、爆炎と爆風の中、ナハトムの姿を探すと、ケネリクラヌェイアレ共々バラバラになってちぎれ飛ぶナハトムの姿が見えた。私が与えた防御力だけでは足りなかったのだ。

「やれやれ…」

千分の一秒の世界の中で私はナハトムの体を掴み巻き戻しながら、爆発の中から飛び出した。

戦車の一匹はミサイルの直撃を受けて消し飛んだが、ヘリともう一匹の戦車のバージャムデレクェもどうやら無事だったようだ。ヘリの方は上空へと跳び上がり、旋回中の戦闘機に対してチェーンガンを放っていた。

『と言うか、お前それ、対空兵装じゃないぞ。当たる訳がなかろうが…』

と思ったら、二機編隊だった戦闘機のうちの一機が炎に包まれ墜落した。

『って、当たったのかよ!?』

戦闘機のパイロットがヘボなのか、バージャムデレクェがすごいのか。まあ、後者だろうが。なにしろもはやこいつは機械じゃなく一種の生物みたいなものだからな。武器が感覚と直結しているから予測射撃もお手の物だ。しかも旋回中の戦闘機は動きが限られるし。

とは言え、こいつ、さては弾丸も自分で作ってるのか。さっきから撃ちっぱなしだぞ。連続射撃じゃほんの数秒で撃ち尽くす筈なんだがな。

戦車の方も戦闘機目掛けて撃ってるが、さすがにこれを当てるのは無理か。旋回を終えて残った一機が再びミサイルを放ち、すぐさま離脱した。僚機を失ったまま戦闘を続けるほどもボンクラでもないようだ。

迫ってくるミサイル目掛けてヘリがチェーンガンを撃ちまくるが、いや、これはいくら何でもと思っていたら、案の定、

ガーンッッ!! という音と共にヘリは火の玉に包まれた。バリバリと音を立てながら炎の塊が落ちてくる。

しかし、これは私が想定していた以上の騒ぎになったな。そのこと自体は別に構わんが、おっと、またここに戦闘機ほどではないが結構なスピードで迫ってくるものがある。しかも地形に合わせてのかなりの低空飛行だ。

「ふん…今度はトマホークミサイルか……? 核……ではない、だろうな」

いくら何でもこんなところにいきなり戦術核をぶち込むような真似はせんだろうが、まったくもってサービス過剰だ。それにこれでは普通に人間がよくやる局地戦になってしまっている。人外の者同士の戦いではないぞ。

サタニキール=ヴェルナギュアヌェへのアピールにならんじゃないか。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生きている壺

川喜多アンヌ
ホラー
買い取り専門店に勤める大輔に、ある老婦人が壺を置いて行った。どう見てもただの壺。誰も欲しがらない。どうせ売れないからと倉庫に追いやられていたその壺。台風の日、その倉庫で店長が死んだ……。倉庫で大輔が見たものは。

MARENOL(公式&考察から出来た空想の小説)

ルーンテトラ
ホラー
どうも皆さんこんにちは! 初投稿になります、ルーンテトラは。 今回は私の好きな曲、メアノールを参考に、小説を書かせていただきました(๑¯ㅁ¯๑) メアノール、なんだろうと思って本家見ようと思ったそこの貴方! メアノールは年齢制限が運営から付けられていませんが(今は2019/11/11) 公式さんからはRー18Gと描かれておりましたので見る際は十分御気をつけてください( ˘ω˘ ) それでは、ご自由に閲覧くださいませ。 需要があればその後のリザちゃんの行動小説描きますよ(* 'ᵕ' )

死神ドロップス-神のキャンディー-

吉野ゆき
ホラー
森岡 譲(26) もともと人は好きじゃない。 毎日が退屈。 すぐ怒鳴る上司にもウンザリだ。 そんなとき、パソコンが怪しく光る。 『あなたは選ばれた人間です』 食べるだけでどんな願いも叶うキャンディー? 代償は他人の不幸? まるで俺のためにあるようなものじゃないか。 俺は必然のように現れたサイトをクリックする―――。

深淵の孤独

阿波野治
ホラー
中学二年生の少年・楠部龍平は早起きをした朝、学校の校門に切断された幼い少女の頭部が放置されているのを発見。気が動転するあまり、あろうことか頭部を自宅に持ち帰ってしまう。龍平は殺人鬼の復讐に怯え、頭部の処理に思い悩む、暗鬱で孤独な日々を強いられる。

君の魂は砂糖のように甘すぎる ~"Your Soul,Too Sweet like Sugar"~

希依
ホラー
あなたのことを許さない。怪物に喰われ続ける私を見捨てたのだから。 あの頃、僕たちのすぐ隣で暗闇は生きていた。悪意を持てない少年メロスと暗闇に喰われ続ける少女かふかの懐かしくて哀しいジュブナイルホラー。 5月の連休初日。メロスが部屋で起きると母親は失踪していた。母の遺した一万円札を持ってモール型ショッピングセンターに行くと学校一の嫌われ者である永井かふかがクラスメイトにいじめられる場面に遭遇する。メロスはこっそりとかふかを助けるが、逆にかふかに逆恨みされ善意をつけこまれる。メロスにはかふかに決して逆らえない負い目があった…。 「メロスはかふかを見捨てた。かふかはメロスに殺されたの」 その夜、アパートのベランダで永井かふかが暗闇の怪物に生きたまま喰われるのをメロスは見る。それはまるで夕暮れの校舎で少女を見捨てたときと同じように―――。 ちょうど同じころ、モール型ショッピングセンターで幼児失踪事件が起きていた。かふかが言うにはその事件にはかふかを喰らっていたクラヤミの怪物、晦虫が絡んでいるという。 晦虫は人の悪意を喰らう。ショッピングセンターの奥に捕らわれた少女の絶望を美味そうに食べているが、もうじきその絶望の灯も消えるのだと。 少年は耳たぶを報酬に晦虫の毒である少女の助けを得ると、晦虫に捕らわれた女の子を助けに深夜のショッピングモールに潜入するのであった。そこで少年と少女が見たのは大人の悪意に寄生した晦虫の群れと巨大な晦虫の王、そして、■■の裏切り―――。 ヒトの悪意は怪物にとって蜜の味、じゃあ、ヒトの善意はどんな味? ※本作品はホラーです。性的描写、身体欠損など猟奇的描写はできるだけ抑えめにしていますが、人によっては不快と感じる描写が多数あります。ホラー、サイコサスペンスが苦手な方はご注意してお読みください。 

黄泉小径 -ヨモツコミチ-

小曽根 委論(おぞね いろん)
ホラー
死後の世界に通ずると噂される、村はずれの細道……黄泉小径。立ち入れば帰って来れないとも言われる、その不気味な竹藪の道に、しかしながら足を踏み入れる者が時折現れる。この物語では、そんな者たちを時代ごとに紐解き、露わにしていく。

正体不明

ベアりんぐ
ホラー
 ある県の、ある市の、あるコンビニの夜勤に勤めている大学生"石子徹"の感じた違和感から始まる物語。  あなたのそばにも。 014

闇夜に道連れ ~友哉とあきらの異常な日常~

緋川真望
ホラー
少しだけ歪んでいたとしても、そばにいるだけで、きっと幸せ。 盲目で何も見えないはずの友哉の目には、怪異が映る。 半妖のあきらの目にも、怪異が映る。 でも、二人に見えているものは同じではなかった。 盲目の友哉と半妖のあきらは便利屋をしながら各地を転々として暮らしている。 今回依頼があったのは築三年の新しいアパートで、事故物件でもないのに、すでに6人も行方不明者が出ているという。 アパートを訪れたふたりはさっそく怪異に巻き込まれてしまい……。 序章は現代(19歳)、第一章から第七章まで二人の高校時代のお話(友哉の目が見えなくなる原因など)、終章はまた現代に戻る構成です。 ホラーみのあるブロマンスです。 エロはありません。 エブリスタでも公開中。

処理中です...