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最終章
終わりの始まり
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赤島出姫織については、<悪魔王>サタニキール=ヴェルナギュアヌェの一件の際の心的外傷もすっかり落ち着き、今ではもう私のケアも必要なくなった。人間ならたとえ<専門家>であっても時間もかかるだろうが、脳の状態を良好に保つことも造作もない私にとってはむしろ時間がかかった方だろうな。
で、当の赤島出姫織は、同じ三年の男子と何やらいい感じになっているらしい。現時点ではまだ付き合ってはいないようだがな。
また、新伊崎千晶は姉の千歳との生活が心地好いらしく、凛々しく精悍な印象になっていた表情がさらに変化して凛々しい中にも柔らかさを感じさせるものになっていた。その所為か本人非公認ながら二年生の女子を中心に正式にファンクラブが立ち上がったともいう。
肥土透は黄三縞亜蓮と同じクラスになったこともあり、さらに一緒にいる時間が増えた。だが休憩時間などにはそこに月城こよみの姿もあり、奇妙ではあるが仲睦まじいその様子は微笑ましくもあった。
ただ、黄三縞亜蓮の腹はもう既に誤魔化しが効かないくらいに大きくなってきており、別に意図的に噂を流さずとも誰もが妊娠に気付いている状態だった。だが学校側の懸命の働きかけにより大きな騒ぎにはなっていない。もっとも、それには月城こよみによるちょっとした細工も影響していたのだが。月城こよみが、軽い認識阻害を常にかけているのである。それによって過度に反応することが抑えられているというわけだ。
さりとて、それでもなお『黄三縞亜蓮の腹の子の父親は肥土透』という噂は自然発生的に生じていたが。まあこれについては学校側としてももはや対処のしようもないので、あまり騒ぎにならないうちは黙認としているようではある。
ちなみに、出産予定日は五月下旬とのことで、まさにいよいよという感じだな。
碧空寺由紀嘉もすっかり明るくなって、私の傍でいつも楽しそうにしている。何がそんなに楽しいのか知らんが、とにかく楽しそうだ。私の別宅での疑似一人暮らしにも慣れ、最近では山下沙奈に教わって食事も作り始めている。大学には進学せず早い段階での自立を目指すと言っていた。本当は高校にも通わないつもりだったらしいが、さすがにそれは月城こよみらにも『高校くらいまでは一緒に行こうよ』と言われ、承諾したそうだ。まあ、私も高校にはいくつもりだしな。
貴志騨一成については、体型こそ大きく変わっていないもののその雰囲気はもはや別人であり、闘う男の顔になったこともあってか、最近、二年生の女子からラブレターをもらったとかいう話まであった。しかし、ケモナーであることは基本的に変わっていないそうで、生真面目な顔で熱心にそういう画像を鑑賞していたりするんだとか。
山下沙奈は、赤島出姫織が私のケアを受ける必要がなくなったということでホッとしているようだ。自然科学部の部長としての仕事にはまだ完全には慣れていないようだが、部員達がフォローしてくれるので何とかなっているらしい。しかも新一年生がまた三人入ってきたことで当面安泰だろう。
で、当の赤島出姫織は、同じ三年の男子と何やらいい感じになっているらしい。現時点ではまだ付き合ってはいないようだがな。
また、新伊崎千晶は姉の千歳との生活が心地好いらしく、凛々しく精悍な印象になっていた表情がさらに変化して凛々しい中にも柔らかさを感じさせるものになっていた。その所為か本人非公認ながら二年生の女子を中心に正式にファンクラブが立ち上がったともいう。
肥土透は黄三縞亜蓮と同じクラスになったこともあり、さらに一緒にいる時間が増えた。だが休憩時間などにはそこに月城こよみの姿もあり、奇妙ではあるが仲睦まじいその様子は微笑ましくもあった。
ただ、黄三縞亜蓮の腹はもう既に誤魔化しが効かないくらいに大きくなってきており、別に意図的に噂を流さずとも誰もが妊娠に気付いている状態だった。だが学校側の懸命の働きかけにより大きな騒ぎにはなっていない。もっとも、それには月城こよみによるちょっとした細工も影響していたのだが。月城こよみが、軽い認識阻害を常にかけているのである。それによって過度に反応することが抑えられているというわけだ。
さりとて、それでもなお『黄三縞亜蓮の腹の子の父親は肥土透』という噂は自然発生的に生じていたが。まあこれについては学校側としてももはや対処のしようもないので、あまり騒ぎにならないうちは黙認としているようではある。
ちなみに、出産予定日は五月下旬とのことで、まさにいよいよという感じだな。
碧空寺由紀嘉もすっかり明るくなって、私の傍でいつも楽しそうにしている。何がそんなに楽しいのか知らんが、とにかく楽しそうだ。私の別宅での疑似一人暮らしにも慣れ、最近では山下沙奈に教わって食事も作り始めている。大学には進学せず早い段階での自立を目指すと言っていた。本当は高校にも通わないつもりだったらしいが、さすがにそれは月城こよみらにも『高校くらいまでは一緒に行こうよ』と言われ、承諾したそうだ。まあ、私も高校にはいくつもりだしな。
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