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春休みの章
事情聴取
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「申し訳ないけど、ちょっと事情を聞かせてくれるかな」
応援として要請されたパトカーが駆け付けたところで警官が左近瑞優星と赤島出姫織に声を掛ける。
『面倒なことになったな……』
そうは思ったものの、ここで変に拒んだりしたら後でもっと面倒なことになるかもしれないと考え、諦めて大人しく従うことにした。
二人してパトカーに乗せられ近くの警察署にまで行ったが、そこでは女性警官に、
「僕たちはゲームセンターでゲームをしてただけです。そしたら因縁をつけられて…」
と、状況を説明しただけだった。
「そう、それは災難だったね」
女性警官は優しく応えてくれて、三十分ほどで解放された。
帰りも、パトカーで元の場所まで送ってくれるという気の遣いようだった。
ただその時、
「相手は君達と同じ学校の生徒だということだからもしかしたらまた事情を聴くこともあるかもしれないけど、その時はよろしく頼むね」
とは言われたが。
「はい…」
左近瑞優星も素直にそう応えておいた。
赤島出姫織は黙ったままだったが。
「ごめん、俺の所為だよな……」
元のゲームセンター近くでパトカーから降ろされ、左近瑞優星が申し訳なさそうにそう言った。
「ううん。左近瑞君の所為じゃないよ……」
冷めた表情ではあったものの、赤島出姫織も彼を責めることはなかった。実際、絡んできた方が悪いのだ。二人には何の責任もない。赤島出姫織があの男をフったのだって、今回のことを思えば当然のことだろう。あんな人間と好き好んで付き合う必要はまるでない。
などと、せっかくの時間に水を差された形になったことで、この日はそのまま別れることになった。
だが、赤島出姫織としてはまだ終わりにはできなかったが。
ゲベルクライヒナに憑かれた男をそのままにはしておけない。
男はまだ、警察署で事情を聴かれているところだった。
左近瑞優星と別れてすぐ、赤島出姫織は魔法で空を飛び、警察署へと向かった。もちろん認識阻害を掛けて。
転移魔法も使えるものの、正直、自分の魔法を信用してないので、自身に転移魔法を使う気にはなれなかった。万が一のことがあっても困るしな。
まあそれはさて置いて、認識阻害によって誰にも気付かれずに警察署に立ち入り、探知魔法によってゲベルクライヒナに憑かれた男の所在を探った。
こうやって意識しないと見付けられない辺りはまだまだ未熟だと言える。
しかし、きちんと意識すれば見付けるのは難しくなかった。
未成年と言えどナイフを所持し警官にまで斬りかかったので、男は取調室で話を聴かれていた。
警察としては一応、保護者には連絡をしたものの、
「知るか! そっちで好きなようにしろ!」
と吐き捨てられたそうである。
応援として要請されたパトカーが駆け付けたところで警官が左近瑞優星と赤島出姫織に声を掛ける。
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二人してパトカーに乗せられ近くの警察署にまで行ったが、そこでは女性警官に、
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と、状況を説明しただけだった。
「そう、それは災難だったね」
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帰りも、パトカーで元の場所まで送ってくれるという気の遣いようだった。
ただその時、
「相手は君達と同じ学校の生徒だということだからもしかしたらまた事情を聴くこともあるかもしれないけど、その時はよろしく頼むね」
とは言われたが。
「はい…」
左近瑞優星も素直にそう応えておいた。
赤島出姫織は黙ったままだったが。
「ごめん、俺の所為だよな……」
元のゲームセンター近くでパトカーから降ろされ、左近瑞優星が申し訳なさそうにそう言った。
「ううん。左近瑞君の所為じゃないよ……」
冷めた表情ではあったものの、赤島出姫織も彼を責めることはなかった。実際、絡んできた方が悪いのだ。二人には何の責任もない。赤島出姫織があの男をフったのだって、今回のことを思えば当然のことだろう。あんな人間と好き好んで付き合う必要はまるでない。
などと、せっかくの時間に水を差された形になったことで、この日はそのまま別れることになった。
だが、赤島出姫織としてはまだ終わりにはできなかったが。
ゲベルクライヒナに憑かれた男をそのままにはしておけない。
男はまだ、警察署で事情を聴かれているところだった。
左近瑞優星と別れてすぐ、赤島出姫織は魔法で空を飛び、警察署へと向かった。もちろん認識阻害を掛けて。
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しかし、きちんと意識すれば見付けるのは難しくなかった。
未成年と言えどナイフを所持し警官にまで斬りかかったので、男は取調室で話を聴かれていた。
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と吐き捨てられたそうである。
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