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怨嗟の章
大人である僕が
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みほちゃんに綾乃を呼んでもらって、錬治は、四人に対して言わせてもらった。
「ごめんね……これまでみんなにはこういうことはさせたくなかったから留守番をお願いしてたけど、どうやらそういう訳にはいかなくなってきたみたいだ…」
「神河内さん…!」
彼が言おうとしてることを察して、綾乃が声を上げようとするのを、錬治は力が入らなくて震える右手をようやく掲げて制しながら、続けた。
「吉佐倉さんの言いたいことも分かるよ……
でももう、僕達が動き回るだけで大変なことになるのが分かった以上、もう全員が<加害者>にもなってしまってるんだと思う……
だから僕達に残された手段は、いかに被害を小さくできるかっていうだけなんじゃないかな……
なるべく早く…丁寧に終わらせるんだ……
アリーネさんは軍人だから被害も損害も割り切って最も効率よく片付けようとすると思う……
だから僕達は手分けして、残りの怪物達を、丁寧にそっと片付けることで少しでも被害を小さくしたい……
吉佐倉さん…力を貸してほしい……」
これまで自分が延々と考えてきたことをすべてひっくり返すことになるとしても、それはあくまで錬治個人の拘りでしかなかった。もはやそれが通用しない状況になった今、自分自身の矜持すら捨てることになったとしてもかまわない。
「これは…大人である僕が唆したことだ……責任は全て僕にある……」
ここまでの発言を、錬治は、綾乃が貸してくれていたスマホに録音してある。こんなこと、法的に責任を問われたりしないのは分かってるけれど、万が一ってことを考えて。
そんな彼を、綾乃が泣きそうな顔で睨み付けていた。
「私だって…もう、法的には<成人>です…私にも責任があります…!」
「そうか……分かった…ありがとう……」
こうして彼らは、最後に残った怪物達を手分けして片付けることになった。
エレーンが錬治の車椅子を押してくれて、みほちゃんが怪物を掃って。
綾乃とシェリーが一緒に他を回って。
こうして、残っていた二十数体の怪物は、二時間ほどで片付いたのだった。
「ごめんね…結局手伝わせることになってしまって…」
帰り際、車椅子を押してくれてたエレーンに、そう話しかけた。
遠慮もあってここまで殆ど会話らしい会話もなかったけれど、せめてそれだけは伝えておかなきゃと思ったからだ。
「もう大丈夫です。気にしてません」
エレーンはしっかりとした言葉でそう応えてくれた。
みほちゃんとシェリーはさすがに詳しい状況まではまだ十分に察することはできていなかったものの、高校生のエレーンは、元々日本のアニメが好きなこともあってか、こういう突拍子もない話についても適応性が高く、大まかなところは察することができていたみたいなのだった。
「ごめんね……これまでみんなにはこういうことはさせたくなかったから留守番をお願いしてたけど、どうやらそういう訳にはいかなくなってきたみたいだ…」
「神河内さん…!」
彼が言おうとしてることを察して、綾乃が声を上げようとするのを、錬治は力が入らなくて震える右手をようやく掲げて制しながら、続けた。
「吉佐倉さんの言いたいことも分かるよ……
でももう、僕達が動き回るだけで大変なことになるのが分かった以上、もう全員が<加害者>にもなってしまってるんだと思う……
だから僕達に残された手段は、いかに被害を小さくできるかっていうだけなんじゃないかな……
なるべく早く…丁寧に終わらせるんだ……
アリーネさんは軍人だから被害も損害も割り切って最も効率よく片付けようとすると思う……
だから僕達は手分けして、残りの怪物達を、丁寧にそっと片付けることで少しでも被害を小さくしたい……
吉佐倉さん…力を貸してほしい……」
これまで自分が延々と考えてきたことをすべてひっくり返すことになるとしても、それはあくまで錬治個人の拘りでしかなかった。もはやそれが通用しない状況になった今、自分自身の矜持すら捨てることになったとしてもかまわない。
「これは…大人である僕が唆したことだ……責任は全て僕にある……」
ここまでの発言を、錬治は、綾乃が貸してくれていたスマホに録音してある。こんなこと、法的に責任を問われたりしないのは分かってるけれど、万が一ってことを考えて。
そんな彼を、綾乃が泣きそうな顔で睨み付けていた。
「私だって…もう、法的には<成人>です…私にも責任があります…!」
「そうか……分かった…ありがとう……」
こうして彼らは、最後に残った怪物達を手分けして片付けることになった。
エレーンが錬治の車椅子を押してくれて、みほちゃんが怪物を掃って。
綾乃とシェリーが一緒に他を回って。
こうして、残っていた二十数体の怪物は、二時間ほどで片付いたのだった。
「ごめんね…結局手伝わせることになってしまって…」
帰り際、車椅子を押してくれてたエレーンに、そう話しかけた。
遠慮もあってここまで殆ど会話らしい会話もなかったけれど、せめてそれだけは伝えておかなきゃと思ったからだ。
「もう大丈夫です。気にしてません」
エレーンはしっかりとした言葉でそう応えてくれた。
みほちゃんとシェリーはさすがに詳しい状況まではまだ十分に察することはできていなかったものの、高校生のエレーンは、元々日本のアニメが好きなこともあってか、こういう突拍子もない話についても適応性が高く、大まかなところは察することができていたみたいなのだった。
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