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怨嗟の章
簡単なミッション
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とにかく、一度にしっかり寝られないのを、何度にも分けて休むことで何とか帳尻を合わせようと努力する。
「アニメでは魔法とかでどんな病気も簡単に治ったりするのに。奇跡が起こって治ったりするのに……」
エレーンが錬治の様子を見て綾乃にそう言っているのが、彼の耳にも届いてきた。
みほちゃんとシェリーは、綾乃が持っていた携帯ゲームで遊んでるところだった。最近ではほとんど使うことがなかったものの、何となくの習慣で持ち歩いてるものだった。
「弟が遊んでて飽きたって言うから、万歩計代わりに使ってたんです」
と、それがどこまで本当なのか、もしかして子供向けの携帯ゲーム機で遊んでたのが恥ずかしくてそう言ってるだけなのかは分からないけど、
『まあどっちでもいいや』
錬治は気にしなかった。
一方、アリーネは一休みして、また、怪物退治に出掛けてしまった。彼女としては、こうやってのんびりしてる気分じゃないんだろう。
態度は尊大でどこか思い上がってる印象もある彼女だけど、根は真面目な軍人なんだろうと思われた。この危機的状況を自分がどうにかできるというのならやらずにはいられないんだっていうのが伝わってくる。
シェリーは、それこそ怯えきってしまってた。エレーンやみほちゃんとアニメの話をすると辛うじて笑顔が漏れる程度らしい。
『無理もないよ……みほちゃんはまだそこまでの光景を目の当たりにしてないからまだ平気だとしても、直接見てしまったらね。
みほちゃんはただ僕達の傍にいたいというだけなんだろうな……』
それぞれの想いや考えや苦痛の中、錬治達はこうして一緒に行動してる。普通ならきっと決してここまで身近になることのなかった者達が。
怪物退治そのものは、虫を追い払うよりも簡単な作業でしかない。危険もない。でもその中にある、手遅れになってしまった事例を目の当たりにするとショックを受けてしまうだけだ。
それ以外は、<神>から与えられたチート能力を使って簡単なミッションをこなしていくだけの些細な話。
これが錬治達の置かれた状況だった。その中で、錬治の存在がむやみに話を面倒にしてる。彼に合わせて綾乃もアリーネも苦労してる。
『それが本当に申し訳ない……』
錬治達にとっての経過した時間だけで言えばたぶん三日目になり、さすがに巻き込まれた時の緊張感や無暗に上がったテンションも鳴りを潜め、いろいろと気になることが出てくる。
その一番が、お風呂だ。
そんな時、アリーネが、怪物退治に出掛けた先で面白いものを見付けて持ってきた。
「それ、どうしたんです…?」
綾乃が怪訝そうな顔で聞くと、
「ちょっと借りてきただけデスよ。終われば返しに行きまス」
と悪びれることなく言った。
彼女が持ってきたのは、よくある仮設トイレによく似た、でも中にはトイレと一緒にシャワーも付いた、仮設ユニットバスとでも言えばいいのかなって感じのものだった。しかも車輪と手で持つ部分がついてて、一人でも運べるという。
いろいろ不安はあるものの、なんだかいろいろ状況に麻痺してきてるのも感じてた錬治達は、それを便利に使わせてもらうことにしたのだった。
「アニメでは魔法とかでどんな病気も簡単に治ったりするのに。奇跡が起こって治ったりするのに……」
エレーンが錬治の様子を見て綾乃にそう言っているのが、彼の耳にも届いてきた。
みほちゃんとシェリーは、綾乃が持っていた携帯ゲームで遊んでるところだった。最近ではほとんど使うことがなかったものの、何となくの習慣で持ち歩いてるものだった。
「弟が遊んでて飽きたって言うから、万歩計代わりに使ってたんです」
と、それがどこまで本当なのか、もしかして子供向けの携帯ゲーム機で遊んでたのが恥ずかしくてそう言ってるだけなのかは分からないけど、
『まあどっちでもいいや』
錬治は気にしなかった。
一方、アリーネは一休みして、また、怪物退治に出掛けてしまった。彼女としては、こうやってのんびりしてる気分じゃないんだろう。
態度は尊大でどこか思い上がってる印象もある彼女だけど、根は真面目な軍人なんだろうと思われた。この危機的状況を自分がどうにかできるというのならやらずにはいられないんだっていうのが伝わってくる。
シェリーは、それこそ怯えきってしまってた。エレーンやみほちゃんとアニメの話をすると辛うじて笑顔が漏れる程度らしい。
『無理もないよ……みほちゃんはまだそこまでの光景を目の当たりにしてないからまだ平気だとしても、直接見てしまったらね。
みほちゃんはただ僕達の傍にいたいというだけなんだろうな……』
それぞれの想いや考えや苦痛の中、錬治達はこうして一緒に行動してる。普通ならきっと決してここまで身近になることのなかった者達が。
怪物退治そのものは、虫を追い払うよりも簡単な作業でしかない。危険もない。でもその中にある、手遅れになってしまった事例を目の当たりにするとショックを受けてしまうだけだ。
それ以外は、<神>から与えられたチート能力を使って簡単なミッションをこなしていくだけの些細な話。
これが錬治達の置かれた状況だった。その中で、錬治の存在がむやみに話を面倒にしてる。彼に合わせて綾乃もアリーネも苦労してる。
『それが本当に申し訳ない……』
錬治達にとっての経過した時間だけで言えばたぶん三日目になり、さすがに巻き込まれた時の緊張感や無暗に上がったテンションも鳴りを潜め、いろいろと気になることが出てくる。
その一番が、お風呂だ。
そんな時、アリーネが、怪物退治に出掛けた先で面白いものを見付けて持ってきた。
「それ、どうしたんです…?」
綾乃が怪訝そうな顔で聞くと、
「ちょっと借りてきただけデスよ。終われば返しに行きまス」
と悪びれることなく言った。
彼女が持ってきたのは、よくある仮設トイレによく似た、でも中にはトイレと一緒にシャワーも付いた、仮設ユニットバスとでも言えばいいのかなって感じのものだった。しかも車輪と手で持つ部分がついてて、一人でも運べるという。
いろいろ不安はあるものの、なんだかいろいろ状況に麻痺してきてるのも感じてた錬治達は、それを便利に使わせてもらうことにしたのだった。
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