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怨嗟の章
遅れると
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「迷惑だとか言われると、ますますやってみたくなるなあ、<ハーレム>」
『ハーレムなんてむしろ迷惑だ』などと思っていた彼の思考を読み、クォ=ヨ=ムイがニヤニヤと笑いながら嘲るように言う。
『……本当にどこまで性格が悪いんだこの<自称神様>……』
などと、クォ=ヨ=ムイに対して苛立っても無駄だと割り切りつつ、彼は頭の中に次の<敵>を思い浮かべた。するとやっぱり、人が危険に曝されてる度合いがそれぞれ違うのが分かる。
だから特に差し迫ってるのから片付けることにした。
『今度のは……凱旋門が見えるから、パリか? ここ……』
などと思いながら周囲を見回していた彼の隣で、
「わあ、がいじんさんばっかり」
みほちゃんが驚いたみたいに声を上げた。でもその感じはどこか楽しんでるようにも聞こえて、実際彼女の表情もどことなく明るいものになってる気がした。
子供だから、まるでアニメとかのようなこの状況を楽しみ始めているのかもしれない。
『でもまあ、泣き叫んだりされても困るから、楽しんでる分には別にいいか』
そう考えて割り切るようにする。
そして、凱旋門が見える通りに現れた<一つ目の怪物>を同じように手で掃うように退治した。
けれど……
怪物の触手が、近くにいた白人女性の首の半分辺りまで食い込んでるのが分かってしまった。
『そうか…遅れるとこうなるんだ』
白人女性の首に怪物の触手が半分以上食い込んでいるのを見て彼は体が震えるのを感じた。もう完全にその女性は助からないと直感的に悟ったからだ。
「残念だったな。ハーレムに加えられなくて」
クォ=ヨ=ムイの言葉が、手遅れだったことを裏付けていた。
「……く……!」
歯を食いしばり、眉をしかめる。
ここまではどこか緊張感に乏しい、アトラクションのような感覚がなかったと言えば嘘になるだろう。
しかしこの目の前の光景が、紛れもなく人の命がかかった現実なんだということが改めて思い知らされたのだった。
ただ、だからといってここで自分が取り乱すと、あまり事情を分かってなさそうなみほちゃんがショックを受けそうだからと、彼は敢えて平然としてるふりをした。
そんな彼をクォ=ヨームイがニヤニヤと意味深な笑みを浮かべながら見ていた。
『くそっ…!』
なんて心の中で吐き棄てると、それを読んだのかクォ=ヨ=ムイはますますイヤらしい笑みを浮かべる。
彼が苛立ってることそのものが面白いのだろう。
『気にするだけ無駄だ……!』
と改めて割り切るしかなかったのだった。
『ハーレムなんてむしろ迷惑だ』などと思っていた彼の思考を読み、クォ=ヨ=ムイがニヤニヤと笑いながら嘲るように言う。
『……本当にどこまで性格が悪いんだこの<自称神様>……』
などと、クォ=ヨ=ムイに対して苛立っても無駄だと割り切りつつ、彼は頭の中に次の<敵>を思い浮かべた。するとやっぱり、人が危険に曝されてる度合いがそれぞれ違うのが分かる。
だから特に差し迫ってるのから片付けることにした。
『今度のは……凱旋門が見えるから、パリか? ここ……』
などと思いながら周囲を見回していた彼の隣で、
「わあ、がいじんさんばっかり」
みほちゃんが驚いたみたいに声を上げた。でもその感じはどこか楽しんでるようにも聞こえて、実際彼女の表情もどことなく明るいものになってる気がした。
子供だから、まるでアニメとかのようなこの状況を楽しみ始めているのかもしれない。
『でもまあ、泣き叫んだりされても困るから、楽しんでる分には別にいいか』
そう考えて割り切るようにする。
そして、凱旋門が見える通りに現れた<一つ目の怪物>を同じように手で掃うように退治した。
けれど……
怪物の触手が、近くにいた白人女性の首の半分辺りまで食い込んでるのが分かってしまった。
『そうか…遅れるとこうなるんだ』
白人女性の首に怪物の触手が半分以上食い込んでいるのを見て彼は体が震えるのを感じた。もう完全にその女性は助からないと直感的に悟ったからだ。
「残念だったな。ハーレムに加えられなくて」
クォ=ヨ=ムイの言葉が、手遅れだったことを裏付けていた。
「……く……!」
歯を食いしばり、眉をしかめる。
ここまではどこか緊張感に乏しい、アトラクションのような感覚がなかったと言えば嘘になるだろう。
しかしこの目の前の光景が、紛れもなく人の命がかかった現実なんだということが改めて思い知らされたのだった。
ただ、だからといってここで自分が取り乱すと、あまり事情を分かってなさそうなみほちゃんがショックを受けそうだからと、彼は敢えて平然としてるふりをした。
そんな彼をクォ=ヨームイがニヤニヤと意味深な笑みを浮かべながら見ていた。
『くそっ…!』
なんて心の中で吐き棄てると、それを読んだのかクォ=ヨ=ムイはますますイヤらしい笑みを浮かべる。
彼が苛立ってることそのものが面白いのだろう。
『気にするだけ無駄だ……!』
と改めて割り切るしかなかったのだった。
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