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怨嗟の章
チートと言えば
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「などという<自分語り>はいいから、とっとと次に行け!」
彼がしみじみと自らについて考えていると、病院を出たところで、クォ=ヨ=ムイにそう言って背中を蹴られた。
「何するんですか!?」
さすがにイラっときて言い返すと、彼女は、唇の端をおよそ人間では有り得ない角度にまで釣り上げた恐ろしい表情になって、
「口答えするな。いい加減にしないと貴様を喰うぞ?」
と、まるで呪いのような言葉をぶつけてきた。
「―――――!?」
それを見た瞬間、彼は、改めて彼女が人間じゃないということを思い知らされた。
幸い、みほちゃんは彼女の後ろにいたことでその顔を見ていなかったが、もしそれを見てたらまたお漏らしをしてたかもしれない。
しかしとにかく、クォ=ヨ=ムイの言う<敵>とやらをさっさと片付けてこの訳の分からない状況から彼はさっさと抜け出したかった。この<みほちゃん>だってこのままにしておけないのだから。
そんな彼にクォ=ヨ=ムイは言う。
「移動についても既にお前の脳にインストールしてある。分かるはずだ。どうすればいいのかが」
「分かるはずと言われても……って…?」
と戸惑うものの、実際に何故か分かってしまった。目的の場所に歩くような感覚で、彼は次の場所に向かう。
すると、映画とかの場面展開のように突然景色が変わる。
今度は<東京駅の前>だった。人混みの中に、さっきのそれと同じ一つ目の怪物がいて、周囲の人達に触手を伸ばそうとしていた。
だが、さっきのよりは現れたのが遅かったのか、人の体に届きそうなほどではなかった。
『なるほど、こいつらも全てが完璧に同じタイミングで現れた訳じゃないから、少し出遅れた奴もいるってことか……』
彼はすっとそいつに近付いていって、今度は遠慮なく斜めにひっぱたくような感じで手の平を叩きつけた。
と言ってもやはり手応えらしい手応えもなく、スモークを扇いだみたいにくるりと渦を巻いて<怪物>は霧散した。とても<戦い>なんて言えるようなものではない。本当に害虫を手で追い払ってるような感じだった。
『チートと言えばあまりにもチートすぎるな。むしろ慣れてきたら退屈になってきてしまうかも……』
などと考えている彼に、クォ=ヨ=ムイが言う。
「ふん。今回は女がいなくて残念だったな」
言われて気が付いた。確かに今回の怪物の周りにいたのは男性サラリーマンばかりだった。
とは言え、彼はハーレムなど期待してやってる訳じゃなかった。
『気を遣わなくちゃいけなさそうだし、むしろ迷惑だよ……』
そんな風にも思ったのだった。
彼がしみじみと自らについて考えていると、病院を出たところで、クォ=ヨ=ムイにそう言って背中を蹴られた。
「何するんですか!?」
さすがにイラっときて言い返すと、彼女は、唇の端をおよそ人間では有り得ない角度にまで釣り上げた恐ろしい表情になって、
「口答えするな。いい加減にしないと貴様を喰うぞ?」
と、まるで呪いのような言葉をぶつけてきた。
「―――――!?」
それを見た瞬間、彼は、改めて彼女が人間じゃないということを思い知らされた。
幸い、みほちゃんは彼女の後ろにいたことでその顔を見ていなかったが、もしそれを見てたらまたお漏らしをしてたかもしれない。
しかしとにかく、クォ=ヨ=ムイの言う<敵>とやらをさっさと片付けてこの訳の分からない状況から彼はさっさと抜け出したかった。この<みほちゃん>だってこのままにしておけないのだから。
そんな彼にクォ=ヨ=ムイは言う。
「移動についても既にお前の脳にインストールしてある。分かるはずだ。どうすればいいのかが」
「分かるはずと言われても……って…?」
と戸惑うものの、実際に何故か分かってしまった。目的の場所に歩くような感覚で、彼は次の場所に向かう。
すると、映画とかの場面展開のように突然景色が変わる。
今度は<東京駅の前>だった。人混みの中に、さっきのそれと同じ一つ目の怪物がいて、周囲の人達に触手を伸ばそうとしていた。
だが、さっきのよりは現れたのが遅かったのか、人の体に届きそうなほどではなかった。
『なるほど、こいつらも全てが完璧に同じタイミングで現れた訳じゃないから、少し出遅れた奴もいるってことか……』
彼はすっとそいつに近付いていって、今度は遠慮なく斜めにひっぱたくような感じで手の平を叩きつけた。
と言ってもやはり手応えらしい手応えもなく、スモークを扇いだみたいにくるりと渦を巻いて<怪物>は霧散した。とても<戦い>なんて言えるようなものではない。本当に害虫を手で追い払ってるような感じだった。
『チートと言えばあまりにもチートすぎるな。むしろ慣れてきたら退屈になってきてしまうかも……』
などと考えている彼に、クォ=ヨ=ムイが言う。
「ふん。今回は女がいなくて残念だったな」
言われて気が付いた。確かに今回の怪物の周りにいたのは男性サラリーマンばかりだった。
とは言え、彼はハーレムなど期待してやってる訳じゃなかった。
『気を遣わなくちゃいけなさそうだし、むしろ迷惑だよ……』
そんな風にも思ったのだった。
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