JC邪神の超常的な日常

京衛武百十

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夏休みの章

起源

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彼女の父親曰く、『あいつにハメられた』のだそうだ。この場合の『あいつ』とは、彼女の母親である。

まあよくある『今日は大丈夫な日だから』という言葉に乗せられて軽い気持ちで彼女の母親を抱いて、実は大丈夫じゃなかったというパターンだった。

父親は、外見こそはそこそこ整っていたが、根が不誠実で刹那的で女性にだらしない男だった。それでも、関係を持った女性に子供が出来たというので結婚したところを見れば、実は必ずしも不誠実なだけではなかったのかも知れない。

だが、本質的には厄介事と見れば腰が引けてすぐ逃げ出すような人間であったことは間違いないだろう。

しかしそういう人間では当然のように子供に対しても当然そういう態度であり、生まれた我が子のことも愛してなどいなかった。面倒は全て母親に押し付けて、子を抱きあげたことすら両手で足りる程度の回数しかなかったと思われる。

そしてこの父親の問題点は、ここからが本番だった。

それは、娘の明花さやかが四歳になった頃から始まった。

母親がパートに行っている間、娘と二人きりだったこの父親は、まだ恥じらいなどの感覚を持たずに裾の短いワンピースを着た明花が足を大きく広げて座っているのを見て、劣情を催したのである。

子供っぽいキャラクターの描かれた綿の下着の股間部分をめくり、まだただの肉の切れ込みのようなものでしかなかった娘の陰部を指で弄び始めたのだった。

「パパ、ばっちいよ…?」

明花さやかのだったらばっちくないよ」

そんな父親の行為の意味を理解できなかった幼い明花さやかは、自分のことを構ってくれてるのだと思って好意的に受け止めた。父親の指が自分の股間に触れるたびにくすぐったくて身をよじっていたが、嫌ではなかった。むしろ、それまで自分と遊んでくれなかった父親が遊んでくれるようになったのを喜んでさえいた。

しかも、『これは二人だけの秘密の遊びだよ』と言われたことが何だかとても嬉しくて、理由も分からないままに言われた通り誰にも話すことなく秘密の遊びを続けた。

とは言え、成長と共に行為の意味も分かってくる。だがその頃には、父親の指によってもたらされる甘い感覚を受け入れてしまっていたのだった。さらには自分がそのようなことをされているということ自体が恥ずかしくなり、誰にも相談できずに時間だけが過ぎ、彼女は成長していった。

だが実は、母親も娘が父親から何をされてるかを察していた。察した上で知らないふりをしていたのであった。

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