133 / 562
夏休みの章
最終ステージ
しおりを挟む
さて、黒幕が貴志騨一成ではなかったことも確認できたことだし、ケリをつけるとしようか。
と言ってもただ力尽くで叩き潰すというのも芸がないな。
それに、玖島楓恋も中途半端で終わるのは後味が悪かろう。
というわけで、教室のドアを開け、<最終ステージ>へと進む。
そうして教室へと入ってきた私達を、女子生徒は何も見えていない虚ろな目で見た。不穏な気配こそあれ、ボスとしてはいささか迫力に欠ける。
さらには、恐らくゲームとして創作物として他人の前に提示すれば、メリハリも盛り上がりもなく、それこそ嘲笑の的にしかならなかったであろう稚拙な出来。
思春期にありがちな<惑い>を、エルディミアンが表面だけ汲み取って形にしたようだな。
「さて、お前を倒してクリアだ。とっとと片付けるぞ」
私は冷淡にそう告げる。
「そろそろ終わりにしたいもんね」
と、月城こよみは、非常に雑なこのゲームに飽き飽きしており、さっさと終わらせようと気合いが入っている。
一方で、玖島楓恋の方は、
「さあ、かかってきなさい!」
などとノリノリである。
元々あまりゲームなどをよく分かっておらず、こだわりもなく、ただ誰かが企画し用意したレクリエーションとして単純に楽しんでいたようだ。茶番でも楽しめるというのは実はすごいことかもしれんがな。
まったく。その能天気な純粋さがもはや清々しいよ。
しかし、立ちはだかった私達の前で、その女子生徒の姿がみるみる変形し、巨大な屍魂となった。もうちょっと凝った演出もあるだろうにと思うものの、こいつの妄想ではこれが限度なのだろう。
だが―――――
「―――――む…!?」
だが、その辺りの出来に反して戦闘そのものは、思った以上にシビアだった。私の防御でも防ぎきれず、一撃で玖島楓恋のHPが大きく削られる。
「あ、ちょっと、ヤバイかも」
さすがの能天気も状況を理解し、膝をつきながら顔を歪めた。それでも、その姿がやけに艶かしいが。
などと言ってる場合ではないな。ここで回復役を失うというのはマズい。たぶん、セーブポイントのようなものがここまでなかったから、やられてしまうと最初からやり直しになるだろう。ボスマスがここで変わりないなら直接来れば済むが、さすがにランダムで変更される可能性もある。それは面倒だ。
できればもうここで片をつけてしまいたい。
<ゲーム>は終わりだ。
そこで、私は、刃物を重ね合わせたかのような自らの体を丸め、そのまま突っ込んでいった。
「ごおおおおおおっっ!!」
と爆音のような絶叫が上がる。ちょうど、屍魂が次の攻撃を繰り出そうとしたところにカウンターのような形で攻撃したからな。
と言ってもただ力尽くで叩き潰すというのも芸がないな。
それに、玖島楓恋も中途半端で終わるのは後味が悪かろう。
というわけで、教室のドアを開け、<最終ステージ>へと進む。
そうして教室へと入ってきた私達を、女子生徒は何も見えていない虚ろな目で見た。不穏な気配こそあれ、ボスとしてはいささか迫力に欠ける。
さらには、恐らくゲームとして創作物として他人の前に提示すれば、メリハリも盛り上がりもなく、それこそ嘲笑の的にしかならなかったであろう稚拙な出来。
思春期にありがちな<惑い>を、エルディミアンが表面だけ汲み取って形にしたようだな。
「さて、お前を倒してクリアだ。とっとと片付けるぞ」
私は冷淡にそう告げる。
「そろそろ終わりにしたいもんね」
と、月城こよみは、非常に雑なこのゲームに飽き飽きしており、さっさと終わらせようと気合いが入っている。
一方で、玖島楓恋の方は、
「さあ、かかってきなさい!」
などとノリノリである。
元々あまりゲームなどをよく分かっておらず、こだわりもなく、ただ誰かが企画し用意したレクリエーションとして単純に楽しんでいたようだ。茶番でも楽しめるというのは実はすごいことかもしれんがな。
まったく。その能天気な純粋さがもはや清々しいよ。
しかし、立ちはだかった私達の前で、その女子生徒の姿がみるみる変形し、巨大な屍魂となった。もうちょっと凝った演出もあるだろうにと思うものの、こいつの妄想ではこれが限度なのだろう。
だが―――――
「―――――む…!?」
だが、その辺りの出来に反して戦闘そのものは、思った以上にシビアだった。私の防御でも防ぎきれず、一撃で玖島楓恋のHPが大きく削られる。
「あ、ちょっと、ヤバイかも」
さすがの能天気も状況を理解し、膝をつきながら顔を歪めた。それでも、その姿がやけに艶かしいが。
などと言ってる場合ではないな。ここで回復役を失うというのはマズい。たぶん、セーブポイントのようなものがここまでなかったから、やられてしまうと最初からやり直しになるだろう。ボスマスがここで変わりないなら直接来れば済むが、さすがにランダムで変更される可能性もある。それは面倒だ。
できればもうここで片をつけてしまいたい。
<ゲーム>は終わりだ。
そこで、私は、刃物を重ね合わせたかのような自らの体を丸め、そのまま突っ込んでいった。
「ごおおおおおおっっ!!」
と爆音のような絶叫が上がる。ちょうど、屍魂が次の攻撃を繰り出そうとしたところにカウンターのような形で攻撃したからな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる