JC邪神の超常的な日常

京衛武百十

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夏休みの章

vs邪神の落とし子

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「石を投げつけていいのは、投げられる覚悟のある者だけだ! 成敗!!」

などと、ポーズを決めながら<スーパーパワーを手にした男>は言った。

男は、離れたところから、少年の一人が砂に埋められた猫に向かって石を投げる光景を見て、少年らが虐待していると判断したのである。少年らが言っていた<復讐云々>の話については、耳に届いていなかった。

月城こよみについては、遠目にも少年らに猫の虐待をやめさせようとしていたように見えたから投げつけなかっただけだ。

だが、当然、その行為に月城こよみは憤る。

「なんてことするんですかっ!!」

それに対して男は、少しも悪びれることなく、

「子供だからといって罪もない猫を虐待するような<悪>を見逃す訳にはいかない。悪はこの世からすべて滅せられなければならない」

と平然と答えた。

そのやり取りの間に、月城こよみは察していた。

『この人、憑かれてる…!』

そう、男がエルディミアンに憑かれていることに気付いたのだ。

それと同時に、石礫で頭を粉砕された少年らを巻き戻す。

「!? お前! 悪に加担するのか!?」

月城こよみが少年らを巻き戻す様子を見て、男が吠えた。そんな男に月城こよみも言い返す。

「悪、悪、って何ですか!? 事情も訊かずにいきなり子供の頭を吹っ飛ばすあなたの方がよっぽど<悪>じゃないですか! この子らは、飼ってたカナリヤがこの猫に殺されたから怒ってただけですよ!」

その月城こよみの言葉に、男の顔がカアッと赤くなっていく。自分の判断に誤りがあったことに気付いてしまったのだろう。にも拘らず、男は吠えた。

「黙れ! 悪の言うことに真実がある筈がない! どうせ自らを正当化する為に思い付いた口から出まかせに決まってる! 悪は悪でしかないのだ!!」

そんな男の言い草に、月城こよみは開いた口が塞がらなかった。少年達の供述は確かに事実かどうかは今はまだ分からない。だが、それが虚偽であると確かめもしないで嘘だと決めつけるのが<正義>のすることなのか?

まあ、違うだろうな。正義を口にするなら、己の正義に誤りがないことを証明するべきだろうが、男は一切、そんなことはしていない。男の思う<正義>も<悪>も男の頭の中にしか存在しないのだ。

「悪は滅す! 滅しなければならない!! それが世の中を綺麗にするのだ!!」

男は叫び、再び少年達に向けて石礫を飛ばす。が、それらはすべて、意識がないまま支えられて立っているだけの少年らの頭に届く前にエネルギーを失い、地面へと落ちる。月城こよみが運動エネルギーをすべて奪い取ったのだ。

「この<悪の手先>があっっ!!」

それが月城こよみによるものだと判断した男は、吠えながら迫ったのだった。

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