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エピローグ
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「お世話になりました」
翌朝、誰も見送る者のない研究所の門のところで深々と頭を下げるリリアテレサとリリア・ツヴァイの姿があった。メルシュ博士さえ姿を見せない。
なのにリリアテレサは、これといって名残惜しそうにするでもなく背を向けて歩き出す。彼女にとってはもうその価値もないということなのだろう。
視線を向けたその先に、人影があった。リルフィーナであった。
「これからどうするつもりですか?」
すれ違いざまにそう声を掛けてきた。引き留めるとかそういうのではない。単なる問い掛けだった。リルフィーナにとっては、メルシュ博士は今もメルシュ博士だった。だから博士の下を去ろうとしているリリアテレサのことが理解できなかった。しかし同時に、博士との距離や博士に対する認識に違いがあることは理解していたから、自分には分からない何かが彼女には見えていたのだと思うようにはしていたのだった。
そんなリルフィーナに、リリアテレサが応える。
「さあ……目的はありません。ただ、メルシュ博士の最後の地であるこの惑星を見て回りたいと思います……」
「そうですか……」
「時々、メンテナンスを受けに戻ってくることはあると思います。博士のことをよろしくお願いします」
当てもなく歩を進めるリリアテレサの前には、新しい命が芽吹き始めたリヴィアターネの大地が広がっていたのだった。
翌朝、誰も見送る者のない研究所の門のところで深々と頭を下げるリリアテレサとリリア・ツヴァイの姿があった。メルシュ博士さえ姿を見せない。
なのにリリアテレサは、これといって名残惜しそうにするでもなく背を向けて歩き出す。彼女にとってはもうその価値もないということなのだろう。
視線を向けたその先に、人影があった。リルフィーナであった。
「これからどうするつもりですか?」
すれ違いざまにそう声を掛けてきた。引き留めるとかそういうのではない。単なる問い掛けだった。リルフィーナにとっては、メルシュ博士は今もメルシュ博士だった。だから博士の下を去ろうとしているリリアテレサのことが理解できなかった。しかし同時に、博士との距離や博士に対する認識に違いがあることは理解していたから、自分には分からない何かが彼女には見えていたのだと思うようにはしていたのだった。
そんなリルフィーナに、リリアテレサが応える。
「さあ……目的はありません。ただ、メルシュ博士の最後の地であるこの惑星を見て回りたいと思います……」
「そうですか……」
「時々、メンテナンスを受けに戻ってくることはあると思います。博士のことをよろしくお願いします」
当てもなく歩を進めるリリアテレサの前には、新しい命が芽吹き始めたリヴィアターネの大地が広がっていたのだった。
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