5 / 99
研究棟設置
しおりを挟む
「あ、いい! そこもっと強く噛んで! あぁっ!」
CLS患者と化した本来の自分の肉体に地面に押し倒され、いかにも食い応えがありそうな乳房に噛み付かれながら、彼女はその刺激に甘い声を上げていた。いくらかじられようと、ロボットであるこの体には傷も付かない。人間の性欲を受け止める<ラブドール>と呼ばれるロボットをベースにしている為、元よりハードなプレイにも耐えられるように作られているからだ。
そんな彼女をリリアテレサは軽蔑しきった冷たい目で見ていた。
リリアテレサの刺すような視線がまた彼女を蕩けさせた。
「あっ、イ、ック。イクっっ、っ!!」
と、怪物となった自分自身に、真昼間の公園で襲われ、それを助手である少女に見下されるという異常な状況が彼女を昂ぶらせ、僅かな時間で軽くのぼりつめてしまったのだった。
ロボットにも拘らずその全身からは<汗>が吹き出し、彼女の股間はしとどに濡れていた。それはラブドールが元々備えている機能である。セックスを盛り上げる為の演出だ。汗に見える液体は生理食塩水であり、汗腺を模した肉眼では判別し難い小さな穴から必要に応じて分泌される。また、股間を濡らしたのは専用のローションだった。
「はっはっは、なかなか旺盛な食欲と言うか執念だな。食べられないということを理解するのには結構時間がかかるようだ。おかげで楽しめたが」
彼女が軽く絶頂を迎えた後、ようやく食べられないということに気付いたらしいCLS患者としてのアリスマリア・ハーガン・メルシュが離れたことで彼女はやっと立ち上がることができた。
しかししばらくするとまた噛り付いてくる。その様子を見て彼女は言う。
「どうやら記憶というものは定着しないらしい。生物と思しき動くものなら何でも捕食しようと襲いかかるようだな。よし、こいつのことは<CLSアリスマリア>と呼称しよう。略称は<Colalice>」とする」
CLSを発症し死んだ本来の自分を<CLSアリスマリア(=コラリス)>と名付け、生態の観察を続けることにした彼女は、リリアテレサに命じ、次の段階へと移行した。着陸船に積み込んでいた資材を下して組み立て、その場に簡易の研究施設を設置したのである。
力仕事などを行う為のロボット、レイバーギア二体も使って二日で完成したそれは、見た目はよくある少し大きめのプレハブ小屋であったが、その内部はさまざまな観測・分析を行う装置がぎっしりと詰まった本格的なものであった。自らの体とリリアテレサ及びレイバーギアのメンテナンスを行う装置と、必要に応じてCLS患者の解剖などを行う為の手術室まで備えていた。
その一方で、人間としての生活スペースは小さな休憩室のようなものがあるだけだった。何しろもう、彼女の体はロボットなので、人間としての生活スペースは必要なかったのである。
CLS患者と化した本来の自分の肉体に地面に押し倒され、いかにも食い応えがありそうな乳房に噛み付かれながら、彼女はその刺激に甘い声を上げていた。いくらかじられようと、ロボットであるこの体には傷も付かない。人間の性欲を受け止める<ラブドール>と呼ばれるロボットをベースにしている為、元よりハードなプレイにも耐えられるように作られているからだ。
そんな彼女をリリアテレサは軽蔑しきった冷たい目で見ていた。
リリアテレサの刺すような視線がまた彼女を蕩けさせた。
「あっ、イ、ック。イクっっ、っ!!」
と、怪物となった自分自身に、真昼間の公園で襲われ、それを助手である少女に見下されるという異常な状況が彼女を昂ぶらせ、僅かな時間で軽くのぼりつめてしまったのだった。
ロボットにも拘らずその全身からは<汗>が吹き出し、彼女の股間はしとどに濡れていた。それはラブドールが元々備えている機能である。セックスを盛り上げる為の演出だ。汗に見える液体は生理食塩水であり、汗腺を模した肉眼では判別し難い小さな穴から必要に応じて分泌される。また、股間を濡らしたのは専用のローションだった。
「はっはっは、なかなか旺盛な食欲と言うか執念だな。食べられないということを理解するのには結構時間がかかるようだ。おかげで楽しめたが」
彼女が軽く絶頂を迎えた後、ようやく食べられないということに気付いたらしいCLS患者としてのアリスマリア・ハーガン・メルシュが離れたことで彼女はやっと立ち上がることができた。
しかししばらくするとまた噛り付いてくる。その様子を見て彼女は言う。
「どうやら記憶というものは定着しないらしい。生物と思しき動くものなら何でも捕食しようと襲いかかるようだな。よし、こいつのことは<CLSアリスマリア>と呼称しよう。略称は<Colalice>」とする」
CLSを発症し死んだ本来の自分を<CLSアリスマリア(=コラリス)>と名付け、生態の観察を続けることにした彼女は、リリアテレサに命じ、次の段階へと移行した。着陸船に積み込んでいた資材を下して組み立て、その場に簡易の研究施設を設置したのである。
力仕事などを行う為のロボット、レイバーギア二体も使って二日で完成したそれは、見た目はよくある少し大きめのプレハブ小屋であったが、その内部はさまざまな観測・分析を行う装置がぎっしりと詰まった本格的なものであった。自らの体とリリアテレサ及びレイバーギアのメンテナンスを行う装置と、必要に応じてCLS患者の解剖などを行う為の手術室まで備えていた。
その一方で、人間としての生活スペースは小さな休憩室のようなものがあるだけだった。何しろもう、彼女の体はロボットなので、人間としての生活スペースは必要なかったのである。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
もしニートの俺が変な島に漂流したら
佐藤さん
SF
佐藤大輔23歳はニートである。
親の脛を齧って齧りまくるヘタレの青年が、起きると見たことのない島にたどり着いていた。
これはニートがニートを脱却するための、死屍累々の奮闘記である。
一章から三章(全三章)
ニートである佐藤大輔は無人島に漂流してしまった。持ち物は着ている服とくしゃくしゃのチョコスティックだけ。
持ち合わせのない彼に迫るのは、絶滅したはずの獣たちだった
新章
大輔の母、佐藤佳以子は無人島に降り立った。佐藤佳以子は息子を捜し求めて、地球上で最も賢い喋るゴリラを尋ねた。
閑話休題
これは終末人類史の「前置き」である。
リノベーション編
日本の大阪に住むくぅーちゃんは、とある少女に出会い、あらぬ方向に人生が進んでいく。
アポカリプス・インパクト
日本を中心に起きた衝撃が世界を包み、終わりを迎えて3年が経った。
空色のサイエンスウィッチ
コーヒー微糖派
SF
『科学の魔女は、空色の髪をなびかせて宙を舞う』
高校を卒業後、亡くなった両親の後を継いで工場長となったニ十歳の女性――空鳥 隼《そらとり じゅん》
彼女は両親との思い出が詰まった工場を守るため、単身で経営を続けてはいたものの、その運営状況は火の車。残された借金さえも返せない。
それでも持ち前の知識で独自の商品開発を進め、なんとかこの状況からの脱出を図っていた。
そんなある日、隼は自身の開発物の影響で、スーパーパワーに目覚めてしまう。
その力は、隼にさらなる可能性を見出させ、その運命さえも大きく変えていく。
持ち前の科学知識を応用することで、世に魔法を再現することをも可能とした力。
その力をもってして、隼は日々空を駆け巡り、世のため人のためのヒーロー活動を始めることにした。
そしていつしか、彼女はこう呼ばれるようになる。
魔法の杖に腰かけて、大空を鳥のように舞う【空色の魔女】と。
※この作品の科学知識云々はフィクションです。参考にしないでください。
※ノベルアッププラス様での連載分を後追いで公開いたします。
※2022/10/25 完結まで投稿しました。
CombatWorldOnline~落ちこぼれ空手青年のアオハルがここに~
ゆる弥
SF
ある空手少年は周りに期待されながらもなかなか試合に勝てない日々が続いていた。
そんな時に親友から進められフルダイブ型のVRMMOゲームに誘われる。
そのゲームを通して知り合ったお爺さんから指導を受けるようになり、現実での成績も向上していく成り上がりストーリー!
これはある空手少年の成長していく青春の一ページ。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
アルビオン王国宙軍士官物語(クリフエッジシリーズ合本版)
愛山雄町
SF
ハヤカワ文庫さんのSF好きにお勧め!
■■■
人類が宇宙に進出して約五千年後、地球より数千光年離れた銀河系ペルセウス腕を舞台に、後に“クリフエッジ(崖っぷち)”と呼ばれることになるアルビオン王国軍士官クリフォード・カスバート・コリングウッドの物語。
■■■
宇宙暦4500年代、銀河系ペルセウス腕には四つの政治勢力、「アルビオン王国」、「ゾンファ共和国」、「スヴァローグ帝国」、「自由星系国家連合」が割拠していた。
アルビオン王国は領土的野心の強いゾンファ共和国とスヴァローグ帝国と戦い続けている。
4512年、アルビオン王国に一人の英雄が登場した。
その名はクリフォード・カスバート・コリングウッド。
彼は柔軟な思考と確固たる信念の持ち主で、敵国の野望を打ち砕いていく。
■■■
小説家になろうで「クリフエッジシリーズ」として投稿している作品を合本版として、こちらでも投稿することにしました。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも投稿しております。
仕合せ屋捕物控
綿涙粉緒
歴史・時代
「蕎麦しかできやせんが、よございますか?」
お江戸永代橋の袂。
草木も眠り、屋の棟も三寸下がろうかという刻限に夜な夜な店を出す屋台の蕎麦屋が一つ。
「仕合せ屋」なんぞという、どうにも優しい名の付いたその蕎麦屋には一人の親父と看板娘が働いていた。
ある寒い夜の事。
そばの香りに誘われて、ふらりと訪れた侍が一人。
お江戸の冷たい夜気とともに厄介ごとを持ち込んできた。
冷たい風の吹き荒れるその厄介ごとに蕎麦屋の親子とその侍で立ち向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる