絵里奈の独白

京衛武百十

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朝ごはん

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朝、私は目覚ましとか関係なく目が覚めていた。スマホの時計を見ると六時前だった。二度寝しようかなとも思ったけど、みんなで一緒に寝てたんだってことを改めて思い出すと、すごく体が温かくなってきて、目が冴えてしまった。

だからみんなを起こさないようにそっと起きて、キッチンに立った。彼の部屋のキッチンに立って今からみんなの為に朝食を作るんだと思うと、顔が熱くなるのを感じた。冷蔵庫にあった塩サバを出してきて網に乗せてコンロに掛ける。

ご飯は昨日のうちに朝一で炊けるように準備してタイマーをセットしておいた。ちょうどゴロゴロ言い出して炊き始めてるのが分かった。

でも、鮭が焼けるいい匂いがし始めた頃、

「おはよう…」

って声を掛けられて、完全に油断してたから胸がドキーン!ってなって「ひゃんっ!」って感じの変な声が出て体が撥ねてしまった。

「おはようございます。あ~、びっくりした。起こしてしまったんですね。ごめんなさい」

慌てて振り返るとそこにいたるさんが立ってたことに気付いてそう声が出た。すると彼も、申し訳なさそうに、

「驚かせてごめん。もしかして、朝ご飯作ってくれてるのかな?」

って。

「はい、沙奈子ちゃんといたるさんに食べてほしくて」

まだ胸がドキドキしてたけど、私は何とか笑顔を作って応えてた。

「そこまで気を遣わせてしまって、本当にごめん」

なんて彼が頭を下げるから、また私も慌ててしまった。

「いえいえそんな、お邪魔してるのは私の方ですから、私の方こそ気を遣わせてしまってごめんなさい…!」

そこから先は、二人して何度もペコペコ頭を下げ合ってしまって。でも何度目かで視線が合った瞬間、なんだかおかしくなってきてしまって、二人で見詰め合ったまま笑ってしまった。

するとその時、

「な~に朝っぱなから二人だけでいい雰囲気になってんですか~?」

って声が部屋の方から届いてきて、今度は二人一緒にビクッて体が撥ねてしまった。

声の方を見たら玲那が布団の上で胡坐をかいて私達をジト~って感じで見てた。

玲那が来てる部屋着は、丈の長いトレーナーみたいな服で、ズボンとか穿いてないから胡坐をかくと下着が丸見えだった。もう、玲那ったら…!。

だけどこの時はそれどころじゃなくて、焦ってしまってて、

「あ、いや、別にそういうわけじゃ…、って、魚が焦げちゃう!」

って塩サバをひっくり返した。ギリギリ焦げてなかった。危ないところだった。

彼も慌てた感じでオロオロしてた。そんな私達の様子が可笑しかったのか、悪戯っぽく笑いながら玲那が言う。

「うそうそ、お似合いだよ、二人とも。お父さん、お母さん」

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