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みんなで一緒に
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明日もまた山下さんのアパートに行くことになって、玲那はそのまま私の部屋に泊まっていくことになった。
でもまさか、あんなこと企んでたなんて……。
翌日、昨日よりはさすがにゆっくりとしつつもそろそろ向かおうかと思って、山下さんのところに電話を掛けた。
家の電話からだったから、自宅の電話番号も彼に知られちゃったな。なんて思いつつ、
「おはようございます。今からそちらに行こうと思うんですけど、大丈夫ですか?」
と訊いてみる。すると私の後ろで玲那が「私も行きま~す!」って声を上げた。
「うん、いつでも大丈夫だから」
彼の返事を確認して、
「じゃあ一時間くらいでそちらに行きます。バス停に着いたらまた電話します」
って応えたら、受話器の向こうで、「待ってる」って声が聞こえた。沙奈子ちゃんの声だった。だから私も思わず、
「待っててね!」
と弾んだ声が出てしまった。
「よ~し、行くぞ~!」
玲那がすごく張り切ってる。思えばこの時も必要以上にテンションが高かったし、それで気付くべきだったかもしれないって今なら思う。
「今バス停に着きました」
彼のアパート近くのバス停に着いてそう電話をして、もうすぐに玄関前に立ってた。チャイムを押すとドアが開いて、「いらっしゃい」とあの穏やかな笑顔で迎えてくれた。そしたら玲那が、
「いや~、もうこうなったらここに泊って行った方が良かったかなって思います~」
だって。確かに私もそう思わないでもなかったけど、さすがに、
「それはいくら何でもご迷惑でしょ、玲那」
ってたしなめる。そう、今はまだそこまで厚かましいことは早いかもって私は思ってた。昨日の沙奈子ちゃんに誤解させてしまったこともあるし。
なのに、その沙奈子ちゃんが、私と玲那に縋りついてきて、
「みんなで一緒に住んだらいい」
って……。
私も玲那もハッとなって、思わず顔を見合わせてた。
…いいの?、沙奈子ちゃん……。
そして玲那と一緒にその場にしゃがみ込んで、沙奈子ちゃんに顔を寄せた。すると彼女も顔を寄せてきて、三人の額がくっついてしまった。その感触を感じながら、私は言った。
「それは素敵な提案だよね、沙奈子ちゃん。じゃあ私もその為の用意をしなくちゃ。いろいろ用意しなくちゃいけないから、それまで待ってもらえる?。用意ができたらみんなで一緒に暮らそう…」
それに続いて、玲那も口を開く。
「私も賛成。みんなで一緒に住めるおうちが見つかったら、私はいつだってOKだよ。毎日沙奈子ちゃんと一緒にいられるなんて、本当に素敵」
この瞬間、もう、四人で一緒に暮らすにあたって、気持ちの上では何の障害もなくなったんだと感じたのだった。
でもまさか、あんなこと企んでたなんて……。
翌日、昨日よりはさすがにゆっくりとしつつもそろそろ向かおうかと思って、山下さんのところに電話を掛けた。
家の電話からだったから、自宅の電話番号も彼に知られちゃったな。なんて思いつつ、
「おはようございます。今からそちらに行こうと思うんですけど、大丈夫ですか?」
と訊いてみる。すると私の後ろで玲那が「私も行きま~す!」って声を上げた。
「うん、いつでも大丈夫だから」
彼の返事を確認して、
「じゃあ一時間くらいでそちらに行きます。バス停に着いたらまた電話します」
って応えたら、受話器の向こうで、「待ってる」って声が聞こえた。沙奈子ちゃんの声だった。だから私も思わず、
「待っててね!」
と弾んだ声が出てしまった。
「よ~し、行くぞ~!」
玲那がすごく張り切ってる。思えばこの時も必要以上にテンションが高かったし、それで気付くべきだったかもしれないって今なら思う。
「今バス停に着きました」
彼のアパート近くのバス停に着いてそう電話をして、もうすぐに玄関前に立ってた。チャイムを押すとドアが開いて、「いらっしゃい」とあの穏やかな笑顔で迎えてくれた。そしたら玲那が、
「いや~、もうこうなったらここに泊って行った方が良かったかなって思います~」
だって。確かに私もそう思わないでもなかったけど、さすがに、
「それはいくら何でもご迷惑でしょ、玲那」
ってたしなめる。そう、今はまだそこまで厚かましいことは早いかもって私は思ってた。昨日の沙奈子ちゃんに誤解させてしまったこともあるし。
なのに、その沙奈子ちゃんが、私と玲那に縋りついてきて、
「みんなで一緒に住んだらいい」
って……。
私も玲那もハッとなって、思わず顔を見合わせてた。
…いいの?、沙奈子ちゃん……。
そして玲那と一緒にその場にしゃがみ込んで、沙奈子ちゃんに顔を寄せた。すると彼女も顔を寄せてきて、三人の額がくっついてしまった。その感触を感じながら、私は言った。
「それは素敵な提案だよね、沙奈子ちゃん。じゃあ私もその為の用意をしなくちゃ。いろいろ用意しなくちゃいけないから、それまで待ってもらえる?。用意ができたらみんなで一緒に暮らそう…」
それに続いて、玲那も口を開く。
「私も賛成。みんなで一緒に住めるおうちが見つかったら、私はいつだってOKだよ。毎日沙奈子ちゃんと一緒にいられるなんて、本当に素敵」
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