129 / 255
スタート
しおりを挟む
正直、何一つ納得できない感じだったけど、でも取り敢えずその場は納得するしかない感じだったから、もう深くは考えないようにした。
それに沙奈子ちゃんが出るハードル走がもうすぐ始まるということで、玲那が、
「どうします?。ゴールの方に行ってみます?」
って山下さんに声を掛けてた。
私達がいる場所はスタート地点近くで、ゴールは逆方向だった。せっかくだから沙奈子ちゃんが頑張って走り切ったところを見届けたいって思った。
「うん、そうしよう」
彼が応えると、さっそく移動する。生徒数が少なくてその分父兄の数も少なくて、混雑もそれほどじゃなかったから移動は楽だった。
場所取りに必死にならなくて済むのはいいな。私が小学校の頃には、それで父兄同士が揉めてたことがあった。子供達の前でいい大人が詰まらないことで諍いを起こしてた。そんな大人の姿に私はうんざりしてたのを思い出す。
ゴールのところに来ても、余裕でカメラで狙えるくらいの人数だった。周りを見ると、星谷さんが依頼したっていうカメラマンもゴールに向けてカメラを構えてるのが分かった。
その時、
「あ、山下さん」
って、彼の名前を呼ぶ声が聞こえた。思わず振り返ると、そこには山下さんよりは明らかに年齢が上の、たぶん四十代半ばくらいかなっていう、穏やかな表情をした男性が立ってた。雰囲気がどことなく彼に似てる。十年くらい経つと山下さんもこんな感じになるのかなっていう印象が。
「どうも、こんにちは」
彼が安心したみたいな表情で挨拶してたから、私と玲那も「こんにちは」って気軽に挨拶できた。
「こちらは山田さんと伊藤さん。沙奈子のお姉さん代わりの人です」
山下さんはその男性に私達をそう紹介してくれた。正直、それで通じるのかなって思ったりもする紹介だった気もするけどその人も察してくれたみたいに穏やかに笑ってくれてた。
「そうですか、はじめまして。山仁と申します」
と言ったその男性に合わせて彼も、
「大希くんとイチコさんのお父さんです」
って紹介してくれた。
なるほど、あの男の子の。何となくだけど納得できたような気もした。あの男の子のお父さんなんだなって。
一通りの挨拶を追えるとちょうどハードル走が始まって、私達はグラウンドに振り返ってた。
パーンとピストルが鳴って、一組目がスタートしたところだった。
子供達が頑張ってる姿が見える。ゴールをくぐると、上級生からボールを渡されてた。数字が書かれてるのが見えたけど、六人で走ってたのに、一位の子の手には二けたの数字が書かれてた。だからきっと順位じゃなくて得点なんだろうなってピンときたの。
それに沙奈子ちゃんが出るハードル走がもうすぐ始まるということで、玲那が、
「どうします?。ゴールの方に行ってみます?」
って山下さんに声を掛けてた。
私達がいる場所はスタート地点近くで、ゴールは逆方向だった。せっかくだから沙奈子ちゃんが頑張って走り切ったところを見届けたいって思った。
「うん、そうしよう」
彼が応えると、さっそく移動する。生徒数が少なくてその分父兄の数も少なくて、混雑もそれほどじゃなかったから移動は楽だった。
場所取りに必死にならなくて済むのはいいな。私が小学校の頃には、それで父兄同士が揉めてたことがあった。子供達の前でいい大人が詰まらないことで諍いを起こしてた。そんな大人の姿に私はうんざりしてたのを思い出す。
ゴールのところに来ても、余裕でカメラで狙えるくらいの人数だった。周りを見ると、星谷さんが依頼したっていうカメラマンもゴールに向けてカメラを構えてるのが分かった。
その時、
「あ、山下さん」
って、彼の名前を呼ぶ声が聞こえた。思わず振り返ると、そこには山下さんよりは明らかに年齢が上の、たぶん四十代半ばくらいかなっていう、穏やかな表情をした男性が立ってた。雰囲気がどことなく彼に似てる。十年くらい経つと山下さんもこんな感じになるのかなっていう印象が。
「どうも、こんにちは」
彼が安心したみたいな表情で挨拶してたから、私と玲那も「こんにちは」って気軽に挨拶できた。
「こちらは山田さんと伊藤さん。沙奈子のお姉さん代わりの人です」
山下さんはその男性に私達をそう紹介してくれた。正直、それで通じるのかなって思ったりもする紹介だった気もするけどその人も察してくれたみたいに穏やかに笑ってくれてた。
「そうですか、はじめまして。山仁と申します」
と言ったその男性に合わせて彼も、
「大希くんとイチコさんのお父さんです」
って紹介してくれた。
なるほど、あの男の子の。何となくだけど納得できたような気もした。あの男の子のお父さんなんだなって。
一通りの挨拶を追えるとちょうどハードル走が始まって、私達はグラウンドに振り返ってた。
パーンとピストルが鳴って、一組目がスタートしたところだった。
子供達が頑張ってる姿が見える。ゴールをくぐると、上級生からボールを渡されてた。数字が書かれてるのが見えたけど、六人で走ってたのに、一位の子の手には二けたの数字が書かれてた。だからきっと順位じゃなくて得点なんだろうなってピンときたの。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる