絵里奈の独白

京衛武百十

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期待と失望

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お弁当が出来上がって、余ったおかずを再度味見としてつまみながら、私は延々とあれこれ考えてた。

こういうの、他人は<面倒臭い奴>って言うんだろうなと思った。でも私はこういう人間だから。あなたたちの都合とか感性に合わせたくないから。

恋愛とか結婚とか子供を持つとかそういうのを馬鹿にして『恋愛とか結婚とかする奴は馬鹿』っていう人の考え方に迎合する気なんてないから。

私は確かに恋愛とか結婚とかに興味はなかったしネガティブな印象を持ってたけど、それを理由に恋愛してたり結婚したり子供を持ったりする人を攻撃する気なんてさらさらなかった。『好きにすれば?。私も好きにするから』って思ってただけだった。

でも、こうやって一緒に暮らすことが具体的に想像できる人に出逢えちゃったんだからそれを無理に拒絶する必要も感じない。結婚に失敗した人から感じる空気を、彼からは感じないの。

彼は、自分が他人に大切にしてもらうことを期待してないんだと思う。自分がちやほやされることを期待してないんだと思う。ただ沙奈子ちゃんのことを大切にしたいだけなんだ。彼女に恩を売ろうという気もなく。

結婚についてネガティブなことを言ってる人からは、とにかく<相手への期待>とその通りにならないことの<失望>を感じる。結局、自分だけがいい目を見たいんだないうのを感じるの。

だけど、他人と一緒に暮らすっていうのはそうじゃないんだよね。自分がどれだけ相手の為に何をしてあげたいかなんだ。香保理や玲那と一緒に暮らしてみてそれが実感だった。その上で、どちらかだけが一方的に尽くすような関係は、長続きしないんじゃないかな。最低限、お互いに『相手の為に何かをしてあげたい』って思える同士じゃないと上手くいかないっていうのが、私の実感。

香保理も玲那も私のことをとても大切にしてくれた。私が生きた人間なんだっていうのをちゃんと分かってくれてた。人形じゃない、ロボットじゃない、人間なんだって。

だから一緒にいられた。だから一緒にいたいと思えた。それと同じものを、山下さんや沙奈子ちゃんからも感じるの。

二人は、ただ自分だけが一方的に甘やかしてもらえるような関係を望んでない。大切な相手の為になら自分を犠牲にだってできる人。沙奈子ちゃんなんてまだ十歳なのに、それを感じさせるんだ。

そういうのを<器>っていうのかもしれない。だとしたら二人の器はとてもとても大きいものだって気がする。

私は、そんな二人の為に力になりたいの。一緒に暮らして、玲那と一緒に二人を支えたいの。

それを馬鹿にするような人の言うことなんて、私には届かない。

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