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抜け駆け
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「…あれ?、雨…?」
山下さんから沙奈子ちゃんの好きなものを聞いて自宅でメニューを考えていた時、雨音が外から聞こえてくるのに気付いた。
明後日は運動会当日なのに…。
でもまあ、今のうちに降ってやんでくれたらそれでいいのか。
だけど、翌日の金曜日になっても雨はやむ気配がなかった。
「雨、やんでくれたらいいですね」
お昼休み、いつものように三人で昼食にしながら私は山下さんに話し掛けてた。
彼も「そうだね」と頷いてくれた。
だけどこの時、玲那だけは別のことを考えてたみたいだった。
「沙奈子ちゃん、月曜日は振替休日なんですよね?」
不意にそんなことを言い出す。
え?、なんで今それを?。と思ったけど、そうか、たとえ雨で延期になったとしても、代わりに授業を行って、その上で月曜日が振替休日なのは変わらないのか。
山下さんも「うん」と応えてた。
すると玲那は、少し恐縮した感じで続けて言った。
「実は私、月曜日に有給取ったんです。だからもしよかったら、沙奈子ちゃんと一緒にお留守番出来たらな~とか…」
……はい…?。聞いてない!、聞いてないよそれ!?。
まさか、私に内緒で勝手に申請して手続したの!?。
「え!、何それ!?。私聞いてない!。抜け駆け?、ねえ抜け駆けなの、玲那!?」
思いがけない展開に、私は軽くパニックになってた。玲那が私に黙ってそんなことするなんて、親しくなってからはまずなかったことだから。
思わず彼女に掴みかかる感じで問い詰めると、玲那は「へっ」と薄ら笑いを浮かべる感じで視線を逸らしながら、
「え~?。だって二人同時に有休とか簡単には取れないし~、絵里奈には、内緒の筈だった私が山下さんに声を掛けた経緯をバラされた恨みもあるし~」
って……。
それって、山下さんと沙奈子ちゃんが洋裁専門店に行った時に、玲那が自分でオタクバレしてしまったついでに私が彼にバラしちゃった時のこと…!?。
え?、玲那、まだそのことを根に持ってたの!?。うそぉ!?。
呆然としてる私を尻目に、彼女は更に山下さんに言った。
「もし良かったらでいいんですけど、月曜日、沙奈子ちゃんと一緒にお留守番させていただけませんか?」
しかも、そんな玲那に山下さんまで、
「伊藤さんがいいんだったら、お願いしようかな。沙奈子も喜ぶと思うし」
だって。
「やったーっ!」
ってガッツポーズを見せる玲那に、私は、
「玲那ズルい~」
と恨めしそうにしがみついてた。でもすぐにハッとなって彼に向かって言ってたのだった。
「じゃあ、もし今度、沙奈子ちゃんが一人でお留守番することになる日があったら教えてください!。次は私が行きます!」
山下さんから沙奈子ちゃんの好きなものを聞いて自宅でメニューを考えていた時、雨音が外から聞こえてくるのに気付いた。
明後日は運動会当日なのに…。
でもまあ、今のうちに降ってやんでくれたらそれでいいのか。
だけど、翌日の金曜日になっても雨はやむ気配がなかった。
「雨、やんでくれたらいいですね」
お昼休み、いつものように三人で昼食にしながら私は山下さんに話し掛けてた。
彼も「そうだね」と頷いてくれた。
だけどこの時、玲那だけは別のことを考えてたみたいだった。
「沙奈子ちゃん、月曜日は振替休日なんですよね?」
不意にそんなことを言い出す。
え?、なんで今それを?。と思ったけど、そうか、たとえ雨で延期になったとしても、代わりに授業を行って、その上で月曜日が振替休日なのは変わらないのか。
山下さんも「うん」と応えてた。
すると玲那は、少し恐縮した感じで続けて言った。
「実は私、月曜日に有給取ったんです。だからもしよかったら、沙奈子ちゃんと一緒にお留守番出来たらな~とか…」
……はい…?。聞いてない!、聞いてないよそれ!?。
まさか、私に内緒で勝手に申請して手続したの!?。
「え!、何それ!?。私聞いてない!。抜け駆け?、ねえ抜け駆けなの、玲那!?」
思いがけない展開に、私は軽くパニックになってた。玲那が私に黙ってそんなことするなんて、親しくなってからはまずなかったことだから。
思わず彼女に掴みかかる感じで問い詰めると、玲那は「へっ」と薄ら笑いを浮かべる感じで視線を逸らしながら、
「え~?。だって二人同時に有休とか簡単には取れないし~、絵里奈には、内緒の筈だった私が山下さんに声を掛けた経緯をバラされた恨みもあるし~」
って……。
それって、山下さんと沙奈子ちゃんが洋裁専門店に行った時に、玲那が自分でオタクバレしてしまったついでに私が彼にバラしちゃった時のこと…!?。
え?、玲那、まだそのことを根に持ってたの!?。うそぉ!?。
呆然としてる私を尻目に、彼女は更に山下さんに言った。
「もし良かったらでいいんですけど、月曜日、沙奈子ちゃんと一緒にお留守番させていただけませんか?」
しかも、そんな玲那に山下さんまで、
「伊藤さんがいいんだったら、お願いしようかな。沙奈子も喜ぶと思うし」
だって。
「やったーっ!」
ってガッツポーズを見せる玲那に、私は、
「玲那ズルい~」
と恨めしそうにしがみついてた。でもすぐにハッとなって彼に向かって言ってたのだった。
「じゃあ、もし今度、沙奈子ちゃんが一人でお留守番することになる日があったら教えてください!。次は私が行きます!」
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