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私の闇
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沙奈子ちゃんと玲那と莉奈と私の四人でのおしゃべりはすごく楽しくて、あっという間に時間が過ぎていった。だから日が傾いて部屋の中が薄暗くなってきてようやく時間が経ってることに気が付いた。
「あ、もうこんな時間?。そろそろお暇しなきゃ」
ハッとなった玲那がそう言うと、おしゃべりの途中で莉奈を膝に抱いてた沙奈子ちゃんが、莉奈をぎゅっと抱きしめて寂しそうな顔をした。まるで縋りつくみたいな、助けを求めてるみたいな……。
さすがにそれを見てしまったら振り切って帰るってことはできなかった。そんなに急ぎの用事もないし、もう少しくらいなら。
「そっか、お別れするの寂しいんだね。じゃあもうちょっとだけお話してようか」
だけど、私がそう言ったのは、また別の理由もあった。今回、莉奈を連れてきた理由を話してなかったからだ。それをいつ切り出すか、タイミングを計りかねてるっていうのもあった。
だって、こんな大きな人形、押し付けられる方も迷惑かも知れないし。
そう、私は今日、莉奈を沙奈子ちゃんにお迎えしてもらおうと思って連れてきたのだった。志緒里がいる今、莉奈までちゃんとお世話できてなかったから。沙奈子ちゃんなら、私の分まで莉奈を大切にしてくれそうだったから。
でも、いざそれを口にしようとすると、言葉が出てこなかった。人形を沙奈子ちゃんと山下さんに押し付けることになるという以上に、莉奈と別れる決心がつかなかったというのもあると思う。
玲那が紅茶とか飲んだカップを片付けようとしたから「あ、私がするよ」と言ったら、
「いいよ、絵里奈は沙奈子ちゃんとお話ししててあげて」
って言って、立ち上がった。それは、『莉奈のこと、ちゃんとお話ししなよ』ってことだと思った。
山下さんも玲那と一緒に片付ける為に立ち上がって、すごく申し訳ない気持ちになった。でもだからこそちゃんと話を切り出さなきゃ。
カップを持って山下さんとキッチンに言った彼女が、
「山下さんも、気が付きましたか…?」
と彼に話しかけるのが分かった。そして続けて、
「絵里奈の様子、普通じゃありませんよね。まるで本当に生きてる人を相手に喋ってるみたいに、人形に話しかけるでしょう?」
って。そうだった。私は、沙奈子ちゃんや玲那にだけじゃなく、莉奈にも普通に話し掛けていたのだ。当たり前みたいに。
「あれが、絵里奈が抱えてる闇なんです」
玲那の言葉に、山下さんの表情が強張るのが分かった。
いつまでも本題を切り出せない私にきっかけを与えようとしてくれてるんだろうな。
「あ、もうこんな時間?。そろそろお暇しなきゃ」
ハッとなった玲那がそう言うと、おしゃべりの途中で莉奈を膝に抱いてた沙奈子ちゃんが、莉奈をぎゅっと抱きしめて寂しそうな顔をした。まるで縋りつくみたいな、助けを求めてるみたいな……。
さすがにそれを見てしまったら振り切って帰るってことはできなかった。そんなに急ぎの用事もないし、もう少しくらいなら。
「そっか、お別れするの寂しいんだね。じゃあもうちょっとだけお話してようか」
だけど、私がそう言ったのは、また別の理由もあった。今回、莉奈を連れてきた理由を話してなかったからだ。それをいつ切り出すか、タイミングを計りかねてるっていうのもあった。
だって、こんな大きな人形、押し付けられる方も迷惑かも知れないし。
そう、私は今日、莉奈を沙奈子ちゃんにお迎えしてもらおうと思って連れてきたのだった。志緒里がいる今、莉奈までちゃんとお世話できてなかったから。沙奈子ちゃんなら、私の分まで莉奈を大切にしてくれそうだったから。
でも、いざそれを口にしようとすると、言葉が出てこなかった。人形を沙奈子ちゃんと山下さんに押し付けることになるという以上に、莉奈と別れる決心がつかなかったというのもあると思う。
玲那が紅茶とか飲んだカップを片付けようとしたから「あ、私がするよ」と言ったら、
「いいよ、絵里奈は沙奈子ちゃんとお話ししててあげて」
って言って、立ち上がった。それは、『莉奈のこと、ちゃんとお話ししなよ』ってことだと思った。
山下さんも玲那と一緒に片付ける為に立ち上がって、すごく申し訳ない気持ちになった。でもだからこそちゃんと話を切り出さなきゃ。
カップを持って山下さんとキッチンに言った彼女が、
「山下さんも、気が付きましたか…?」
と彼に話しかけるのが分かった。そして続けて、
「絵里奈の様子、普通じゃありませんよね。まるで本当に生きてる人を相手に喋ってるみたいに、人形に話しかけるでしょう?」
って。そうだった。私は、沙奈子ちゃんや玲那にだけじゃなく、莉奈にも普通に話し掛けていたのだ。当たり前みたいに。
「あれが、絵里奈が抱えてる闇なんです」
玲那の言葉に、山下さんの表情が強張るのが分かった。
いつまでも本題を切り出せない私にきっかけを与えようとしてくれてるんだろうな。
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