絵里奈の独白

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
12 / 255

保護者的に

しおりを挟む
「山下さんって不思議な人だよね」

私の部屋で一緒に夕食を食べてた玲那れいなが不意にそんなことを言い出した。でも、私もそれには異論はなかった。

別に言葉を交わしたわけじゃないんだけど、ただ遠巻きに見てるだけなんだけど、やっぱり他の男性とは何かが違ってる気がするのが不思議っていう意味ではね。

「ね?。今度、声かけてみようよ!」

玲那が私の顔を覗き込むみたいにしてそんなことを言い出した。

「え…!?、でもいくらなんでもそれは……」

正直、私としては『それはない』と思ってた。確かに普通の男性とは何か違う気はするけど、そんなのただの気のせいって可能性の方がずっと高いと思う。『男性を怖がってるはずの玲那が言うから違うような気がする』だけなんじゃないかなっていうのも感じてた。

そう、考えてみれば玲那がこんなに積極的だっていうのもおかしいんだ。この子がされてきたことを考えたら、『一生、男性なんて見たくない!』『男性なんて全部死ねばいい!!』くらいのことを言い出したって何もおかしくない気がするから。

それなのに、その玲那の方が積極的なんだもん。山下さんの話をする時には、本当に子供みたいなあどけない顔で笑って……。

…あ、そう…か、そうなんだ。玲那は幼いんだった。幼いからすごく感覚的に物事を見たり考えたりするんだ。好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、そういうのがはっきりしてるんだ。

『男性は嫌い。でも、山下さんは別』

理屈じゃなく、感性でそう言ってるんだ。たぶん、どうしてそんな風に感じるのか、玲那自身にも分かってないんだと思う。ただそう感じるからそうなんだろうな。

「え~?、ダメかなあ……」

上目づかいでホントに小さな子供みたいに私を見る彼女に、つい、

「しょうがないなあ。大丈夫かどうか私も一緒に見てあげる。それならいいよ」

って。

玲那が山下さんを男性として好きになるかどうかはまだ分からないけど、取り敢えず同じ会社の社員として顔見知りになるくらいならまあいいんじゃないかとは思ってしまった。

だから、親しくして大丈夫かどうか、玲那にとって益になるのか害になるのか、第三者的な視点で確認させてもらおうと思った。

…なんだか、保護者みたいだね。だけど、そうだよね。この子は幼いところがあるんだから、私が傍についててあげなきゃいけない面もある筈なんだ。もちろん、私も玲那には支えてもらってるけどさ。そういうの含めて、私も一緒に確かめたいと思ったのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...