4 / 255
秘密
しおりを挟む
玲那の過去が分かったことで、香保理と玲那の仲はさらに急速に深まったと思う。
私の胸がもやもやしてしまうくらいには。
それは、香保理自身も過去を打ち明けたのと同時に、彼女の<癖>についても打ち明けたからっていうのもある気がする。
そう。香保理にはあまり人には言えない癖があった。ただし、彼女の左腕をよく見れば大体の人が察してしまうものかもしれないけど。
香保理の左手首には、いくつもの赤い筋があった。リストカットの痕だ。彼女はリストカッターだった。
父親の虐待から逃れる為に何度もリストカットを行って、でも死に損なって、逆にそれが癖になってしまったのだ。リストカットによる痛みとそこから流れ出る血を見ることで自分が生きてるということ、死にたいと思って手首を切りながらも心のどこかでは『死にたくない』と感じてるのを自覚することで、彼女は自分が生きてる、生きたいと思ってるっていうのを実感するというのを続けてた。
私も、以前は何度もやめてくれるように懇願した。血まみれになった彼女を泣きながら叩いたこともある。でも、香保理はリストカットをやめられなかった。
「ごめんね…、ごめんね……」
血まみれの手で顔を覆いながら私に何度も謝る彼女の姿を見て、私もいつしかやめさせることを諦めてた。でもその代わり、
「絶対に死なないって約束して…!」
って彼女に迫ってた。香保理も、
「うん、約束する。死んだりしないよ」
って応えてくれた。
そして玲那も、自分で自分の体を傷付けてた。玲那の場合は、胸だったけど。
私の部屋でお風呂に入った時、見せてくれた。パッと見にはよく分からないけど、玲那が左手で右の乳房を持ち上げるようにした時、付け根付近に赤い筋がいくつも入ってるのが分かった。
「…中学の時、膨らんでくる胸が嫌で、自分で切り落とそうとしたんだ……。
私、自分が女だってことが許せなかった…。自分が女だったからあんな目に遭ったんだって、女じゃなかったらあんな目に遭わずに済んだんだって思ったから……。
だから胸を切り落とせば女じゃなくなれるかって思って……。
でも、無理だった…。何度やってみても駄目だった……。
それがまた嫌で、私、もう何も考えないようにしようって……」
出会ったばかりの頃、暗い顔してたのも、仕事を押し付けられても嫌な顔一つせず文句も言わずにこなしてたのも、それが理由だった。
『何も考えたくない』から、玲那は何も考えないようにしてたってことだった。
私の胸がもやもやしてしまうくらいには。
それは、香保理自身も過去を打ち明けたのと同時に、彼女の<癖>についても打ち明けたからっていうのもある気がする。
そう。香保理にはあまり人には言えない癖があった。ただし、彼女の左腕をよく見れば大体の人が察してしまうものかもしれないけど。
香保理の左手首には、いくつもの赤い筋があった。リストカットの痕だ。彼女はリストカッターだった。
父親の虐待から逃れる為に何度もリストカットを行って、でも死に損なって、逆にそれが癖になってしまったのだ。リストカットによる痛みとそこから流れ出る血を見ることで自分が生きてるということ、死にたいと思って手首を切りながらも心のどこかでは『死にたくない』と感じてるのを自覚することで、彼女は自分が生きてる、生きたいと思ってるっていうのを実感するというのを続けてた。
私も、以前は何度もやめてくれるように懇願した。血まみれになった彼女を泣きながら叩いたこともある。でも、香保理はリストカットをやめられなかった。
「ごめんね…、ごめんね……」
血まみれの手で顔を覆いながら私に何度も謝る彼女の姿を見て、私もいつしかやめさせることを諦めてた。でもその代わり、
「絶対に死なないって約束して…!」
って彼女に迫ってた。香保理も、
「うん、約束する。死んだりしないよ」
って応えてくれた。
そして玲那も、自分で自分の体を傷付けてた。玲那の場合は、胸だったけど。
私の部屋でお風呂に入った時、見せてくれた。パッと見にはよく分からないけど、玲那が左手で右の乳房を持ち上げるようにした時、付け根付近に赤い筋がいくつも入ってるのが分かった。
「…中学の時、膨らんでくる胸が嫌で、自分で切り落とそうとしたんだ……。
私、自分が女だってことが許せなかった…。自分が女だったからあんな目に遭ったんだって、女じゃなかったらあんな目に遭わずに済んだんだって思ったから……。
だから胸を切り落とせば女じゃなくなれるかって思って……。
でも、無理だった…。何度やってみても駄目だった……。
それがまた嫌で、私、もう何も考えないようにしようって……」
出会ったばかりの頃、暗い顔してたのも、仕事を押し付けられても嫌な顔一つせず文句も言わずにこなしてたのも、それが理由だった。
『何も考えたくない』から、玲那は何も考えないようにしてたってことだった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる