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どうします?
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「…何だか不思議ですね…。こうしてるのがすごく不思議な気がします…」
昂っていたものがようやく落ち着いて、私と彼はベッドで横になりながら見つめ合ってた。
私の口から、自然と言葉が漏れる。
「私、男の人は初めてだったのに、こんなに満たされた気持ちになれるなんて、本当に不思議です…」
彼は黙って、そんな私の言葉に耳を傾けてくれてた。だから私も全てを明かそうと決心できた。
「達さんも気付いてたと思いますけど、私、玲那とは<そういう関係>だったんです」
そんな私の告白にも、彼は別に驚いた様子もなかった。穏やかな表情で見てくれてただけだった。それに誘われるようにして、私は続けた。
「だからか、男の人とは初めてなのに、まったく痛くなかった。相手が達さんだったからっていうのもあるかもしれませんけど…」
普通だったら恥ずかしくて口にできないようなことが、スラスラと出てきてしまう。なのに彼は当たり前のように穏やかな表情で見てくれてるだけだった。
「だけど、達さんともこうなってみて、実感しました。玲那との関係は、お互いに傷を舐め合うための代償行動だったんだなって…。同性愛ってわけじゃなかったんだなって…」
私自身、何となく分かってはいたけど、今、はっきりとそれが自覚できた。香保理や玲那との関係は、ただの共依存だったんだということを、改めて。
でも……。
「でも、玲那のことは今でも大好きです。大切だと思ってます。けどやっぱりそれって、家族として大切に思ってるってことなんですね…」
そうだ。香保理や玲那に対する気持ちに嘘はなかった。二人のことは今でも大切だし、そういう関係になったことも後悔してない。ううん。むしろそうなって当たり前だったんだって再確認できた気もする。その上で、やっぱり達さんとのこれとは違ってた。香保理や莉奈とのそれは、どこまでいってもスキンシップの範疇にあるものだったんだ。
玲那はたぶん、私より先にそれに気付いてた。だからこそ、私と彼とのことを応援してくれたんだと思う。自分じゃ達さんの代わりにはなれないってことを……。
本当に、どこまで優しいの、玲那……。
そして決定的なことを私は敢えて言葉にした。
「もしこれで赤ちゃんできたら、どうします?」
香保理や玲那とでは、絶対に起こりえなかったこと。新しい命を迎える為の行為。
だけどやっぱり、彼は優しく微笑んでくれる。
「その時はその時だよ。家族が増えるのは喜ばしいことだ。沙奈子のことはもちろん心配だし、それを理由に赤ちゃんのことを先延ばしにしようとも思ってたりしたけど、こうなったらもう、なるようになれだ。沙奈子のことも赤ちゃんのことも、まとめて受け止めるだけだ」
彼のその言葉に、私はまた、涙が止まらなかったのだった。
昂っていたものがようやく落ち着いて、私と彼はベッドで横になりながら見つめ合ってた。
私の口から、自然と言葉が漏れる。
「私、男の人は初めてだったのに、こんなに満たされた気持ちになれるなんて、本当に不思議です…」
彼は黙って、そんな私の言葉に耳を傾けてくれてた。だから私も全てを明かそうと決心できた。
「達さんも気付いてたと思いますけど、私、玲那とは<そういう関係>だったんです」
そんな私の告白にも、彼は別に驚いた様子もなかった。穏やかな表情で見てくれてただけだった。それに誘われるようにして、私は続けた。
「だからか、男の人とは初めてなのに、まったく痛くなかった。相手が達さんだったからっていうのもあるかもしれませんけど…」
普通だったら恥ずかしくて口にできないようなことが、スラスラと出てきてしまう。なのに彼は当たり前のように穏やかな表情で見てくれてるだけだった。
「だけど、達さんともこうなってみて、実感しました。玲那との関係は、お互いに傷を舐め合うための代償行動だったんだなって…。同性愛ってわけじゃなかったんだなって…」
私自身、何となく分かってはいたけど、今、はっきりとそれが自覚できた。香保理や玲那との関係は、ただの共依存だったんだということを、改めて。
でも……。
「でも、玲那のことは今でも大好きです。大切だと思ってます。けどやっぱりそれって、家族として大切に思ってるってことなんですね…」
そうだ。香保理や玲那に対する気持ちに嘘はなかった。二人のことは今でも大切だし、そういう関係になったことも後悔してない。ううん。むしろそうなって当たり前だったんだって再確認できた気もする。その上で、やっぱり達さんとのこれとは違ってた。香保理や莉奈とのそれは、どこまでいってもスキンシップの範疇にあるものだったんだ。
玲那はたぶん、私より先にそれに気付いてた。だからこそ、私と彼とのことを応援してくれたんだと思う。自分じゃ達さんの代わりにはなれないってことを……。
本当に、どこまで優しいの、玲那……。
そして決定的なことを私は敢えて言葉にした。
「もしこれで赤ちゃんできたら、どうします?」
香保理や玲那とでは、絶対に起こりえなかったこと。新しい命を迎える為の行為。
だけどやっぱり、彼は優しく微笑んでくれる。
「その時はその時だよ。家族が増えるのは喜ばしいことだ。沙奈子のことはもちろん心配だし、それを理由に赤ちゃんのことを先延ばしにしようとも思ってたりしたけど、こうなったらもう、なるようになれだ。沙奈子のことも赤ちゃんのことも、まとめて受け止めるだけだ」
彼のその言葉に、私はまた、涙が止まらなかったのだった。
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