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一緒にデートに
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ピザもケーキも食べてしまって、そろそろお開きにしよということで、四人で片付けを始めた。
でもその時、ピザの箱を捨てようと手を伸ばしたら、達さんも同じことを考えてたらしくて手が触れてしまった。
その瞬間、触れ合ったところから電気みたいなのが奔った気がした。
「あ…!」
なんて声が漏れて、手を引込めると、彼と目が合ってしまう。真っ赤な顔をした彼と。
どくどくと胸が激しく高鳴ってる。体が熱くて汗さえ吹き出しそうだった。そうしてた時間はほんの一瞬だったとは思うけど、私は彼のことで頭が一杯になって、他のことは目に入ってなかった気もする。
だけどその次の瞬間には、何かの気配を感じてハッと横を向いた。そこには、私達を見てる沙奈子ちゃんと玲那の姿。
すると玲那が、ニヤァって感じですごく悪そうに笑った。
私も彼もものすごく照れくさいものを感じながら片付けを続けた。
お皿やフォークを洗ってる時も、沙奈子ちゃんと玲那が何やらひそひそと話をしてるのが分かった。
『うう…、なに話してるんだろう……』
気になってちらりと振り返ってみると、二人ともすっごく悪い顔になってる気もする。
何とも言えない居心地の悪い沈黙の後、洗い物を終えた私が戻った時、二人が言った。
「ねえ、せっかくのクリスマスイブなんだから、お母さんと一緒にデートに行ってきなよ」
そう言ったのは玲那だったけど、沙奈子ちゃんも明らかにそれに乗ってるのが表情で分かった。
「え…!?」
私と彼は思わずまた顔を見合わせてしまう。
『デ、デート…!?。達さんと…?』
確かに、私と彼はもう夫婦なんだから、デートぐらい誰憚ることなくしていいんだと思う。でも、このタイミングで、沙奈子ちゃんと玲那に言われてなんて……。
私を見る彼の顔は真っ赤で、きっと私の顔も同じように真っ赤だったと思う。
そんな風に焦る私達に、沙奈子ちゃんと玲那の笑顔は、すごく嬉しそうなそれに見えた。
「大丈夫、私と沙奈子ちゃんで留守番してるから、行ってきてよ。沙奈子ちゃんも、夜に二人だけだと少し寂しいけど、昼の間だったら平気だって言ってくれてるしさ」
玲那の言葉に、沙奈子ちゃんも何度も頷いてた。とても断れる流れじゃなかった。
「急にデートって言われても、どうすればいいのかな…」
二人で追い出されるようにして部屋を出ると、彼が途方に暮れた感じで言った。
だけど私は、ここまで来たらもう覚悟が決まったのだった。
「私、行きたいところがあるんです」
でもその時、ピザの箱を捨てようと手を伸ばしたら、達さんも同じことを考えてたらしくて手が触れてしまった。
その瞬間、触れ合ったところから電気みたいなのが奔った気がした。
「あ…!」
なんて声が漏れて、手を引込めると、彼と目が合ってしまう。真っ赤な顔をした彼と。
どくどくと胸が激しく高鳴ってる。体が熱くて汗さえ吹き出しそうだった。そうしてた時間はほんの一瞬だったとは思うけど、私は彼のことで頭が一杯になって、他のことは目に入ってなかった気もする。
だけどその次の瞬間には、何かの気配を感じてハッと横を向いた。そこには、私達を見てる沙奈子ちゃんと玲那の姿。
すると玲那が、ニヤァって感じですごく悪そうに笑った。
私も彼もものすごく照れくさいものを感じながら片付けを続けた。
お皿やフォークを洗ってる時も、沙奈子ちゃんと玲那が何やらひそひそと話をしてるのが分かった。
『うう…、なに話してるんだろう……』
気になってちらりと振り返ってみると、二人ともすっごく悪い顔になってる気もする。
何とも言えない居心地の悪い沈黙の後、洗い物を終えた私が戻った時、二人が言った。
「ねえ、せっかくのクリスマスイブなんだから、お母さんと一緒にデートに行ってきなよ」
そう言ったのは玲那だったけど、沙奈子ちゃんも明らかにそれに乗ってるのが表情で分かった。
「え…!?」
私と彼は思わずまた顔を見合わせてしまう。
『デ、デート…!?。達さんと…?』
確かに、私と彼はもう夫婦なんだから、デートぐらい誰憚ることなくしていいんだと思う。でも、このタイミングで、沙奈子ちゃんと玲那に言われてなんて……。
私を見る彼の顔は真っ赤で、きっと私の顔も同じように真っ赤だったと思う。
そんな風に焦る私達に、沙奈子ちゃんと玲那の笑顔は、すごく嬉しそうなそれに見えた。
「大丈夫、私と沙奈子ちゃんで留守番してるから、行ってきてよ。沙奈子ちゃんも、夜に二人だけだと少し寂しいけど、昼の間だったら平気だって言ってくれてるしさ」
玲那の言葉に、沙奈子ちゃんも何度も頷いてた。とても断れる流れじゃなかった。
「急にデートって言われても、どうすればいいのかな…」
二人で追い出されるようにして部屋を出ると、彼が途方に暮れた感じで言った。
だけど私は、ここまで来たらもう覚悟が決まったのだった。
「私、行きたいところがあるんです」
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