絵里奈の独白

京衛武百十

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クリスマスパーティー

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ピザが届き、それをコタツの上に広げて、ツリーの飾りつけも終えて、いよいよパーティーの準備が整った。本当にささやかなものだけど、沙奈子ちゃんの目はすごくキラキラして見えた。

「玲那、準備できたよ」

と電話して、玲那を呼び戻すと、パーティーの始まりだ。

サンタを形どったお菓子が乗ったいかにもなクリスマスケーキに見惚れてた沙奈子ちゃんに、

「はい、プレゼント!」

と、袋から出したのは、この日の為にかなり以前に玲那が仕事帰りに買って、袋のまま押入れに仕舞い込んでいたものだった。私達三人からのプレゼントとしてね。

「わー!」

そう声を上げて、彼女はイルカのぬいぐるみを受け取った後、ぎゅーっとそれを抱き締めた。

「ありがとう!」

実際にはそんなにすごいプレゼントって訳でもないのに沙奈子ちゃんは本当に嬉しそうにお礼を言ってくれた。その様子にまた込み上げてきちゃう。

いたるさんも玲那も目を潤ませて、私はそれこそポロポロと涙がこぼれてしまった。

あとで聞いたら、たぶん、沙奈子ちゃんにとっては生まれて初めてのクリスマスプレゼントだったかもしれないってことだった。だって、彼女の両親や、ここに来るまでに傍にいた大人達は、そういうのをくれるような人達じゃなかったらしいから。

そしてさらに、

「じゃ~ん、手作りネームプレートだよ~」

と言って玲那が差し出したものは、イルカの形をした木製のボードに、いたる、えりな、れいな、さなこ、って木でできたひらがなを貼り付けた、家族のネームプレートだった。玲那がホームセンターで材料を買って自分で作ったものだって。

イルカのぬいぐるみを脇に抱えた沙奈子ちゃんが、そのネームプレートを食い入るように見てた。真っ直ぐにそれを見詰める視線が、彼の名前と、自分の名前と、私の名前と、玲那の名前を見てるのが分かった。それを確かめたみたいに顔を上げて玲那を見て、

「…私の家族のなんだね…!」

って……。

もう、完全に追い打ちだった。何とか我慢してた彼と玲那まで涙がこぼれて、私なんてそれこそひどい有様だった。

もはやパーティーなんだか何なんだかよく分からなくなってしまう。だけど、良かった。それで良かった。たぶん、それだから良かったんだろうな。

やっと落ち着いてきて、クリスマスケーキを切り分けながら、

「今年は特にクリスマスらしい感じでと思ったからお店のにしたけど、来年は私が手作りしてあげる。沙奈子ちゃんも手伝ってくれる?」

と私が言うと、沙奈子ちゃんも、

「うん!」

って笑顔で大きく頷いてくれたんだ。

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