絵里奈の独白

京衛武百十

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心配かけちゃった……

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『大好きです!、愛してます!、私、あなたと出会えて本当に良かった…!』

私がそう言った瞬間、いたるさんの顔がカアッと赤くなるのが分かった。それは、私が初めて見る彼の様子だった。

今までは、慌ててるように見えてもどこか冷めてるって言うか他人事みたいな様子が見え隠れしてたのが、本当に慌ててるって言うか焦ってるって言うか、彼の感情そのものがすごく揺さぶられてるっていうのが見えた気がした。

それと同時に、彼の鼓動が早くなったのも、何故か分かってしまった。

狭い湯船に二人で入って、どうしても体が触れてしまってたのを、遠慮しながらもそんなに意識はしてなかったのが感じられたのに、急に彼がそれを意識し始めたのも分かってしまった気がした。

そう、彼が、私のことを<女性として>意識し始めたのが分かってしまったんだ。

「ごめん、のぼせてきたみたいだからあがる」

と言って視線を逸らしながら彼は立ち上がる。

それは、私が今まで見たことのない、しどろもどろな姿だった。

彼がそんなだったからか、私もすごく胸がドキドキしてきて体が熱くなってきて、お湯に浸かっていられなかった。いたるさんが体を拭くのを待つ間、浴槽の縁に腰かけて待つ。その私のことを彼が意識してるのも感じ取れてしまった。

だけど、不思議と嫌じゃなかった。

これまでは、男性から女性として意識されてるって感じてしまうとたまらない嫌悪感が湧いてきて吐きそうな気分になることさえあった。なのに、いたるさんにそう思われてるのはぜんぜん気持ち悪くなかった。

『相手が、いたるさんだから……?』

確かに、相手が女性でも、別に香保理かほりや玲那以外の女性には、深い関係にまでなりたいって思ったことはなかった。相手が香保理や玲那だったからそう思えたんだって気がする。

ということは、今回のこれも、相手がいたるさんだからってこと…?。

そんな風に思って、胸がすごく高鳴って、体の奥がジュンってなるのを感じながら、彼がお風呂場を出た後で私も体を拭いて、外に出た。部屋着を身に付けながら私の方を見た彼と目が合って、また顔が熱くなる。

でもそれからすぐ、部屋着を身に付けたばかりの彼が立ち尽くすようにしてたのに気付いて、私も何気なくコタツのある方に視線を向けた時……、

「玲那……!?」

そう声を上げた私は、ほとんど無意識のまま、下着も着けないまま、玲那の前に行って膝をついてた。

「ごめん…、絵里奈…。心配かけちゃった……」

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