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おねしょ
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アパートに帰ると、沙奈子ちゃんと玲那が縋るような目で私達を見てた。それは、本当に心細くなりながら両親の帰りを待ってた幼い姉妹っていう姿にも見えた。
私は沙奈子ちゃんを、達さんは玲那をぎゅっと抱き締めた。すると玲那が、ポロポロと涙をこぼし始めた。辛かったんだな…。
彼も、私も、沙奈子ちゃんも、涙が込み上げてしまった。
だから私達は、四人で抱き合った。抱き合ったまま泣いた。もう何が何だか分からないけど、とにかく泣いた。そうして布団を敷いて、四人で固まるみたいにして眠ったのだった。
翌朝、寝てる間も泣いてしまってたのか、ひどく瞼が腫れぼったい感じがあった。そのままで朝食の用意をしてたら彼も起きてきて『おはよう』って声に出さずに言ってくれた。だけど……。
「ひどい顔…」
ってつい口に出てしまった。だって彼の顔も、ホントにひどかったから……。
でもそのまま、キスを交わした。夫婦になって初めてのキスだった。
私は別に結婚に対して憧れとか持ってたつもりはないけど、それにしたって『これはない』って気分だったな。同じ結婚するならやっぱりもっと楽しい感じでしたかったっていうのは正直ある。
けれど、もしかしたらこれもある意味では私達らしい<結婚>かもしれない。お互いに支え合うために、お互いに力になるために、その手段として結婚するなんてね。
あんなに強く振ってた雨も上がって、外がすごく明るくなってた。
沙奈子ちゃんと玲那も起きてきて朝食にする時に改めて見ると、包帯でぐるぐる巻きになった左腕を吊った沙奈子ちゃんの姿が、玲那の固い表情が、胸を締め付けてくる。
塚崎さんっていう、沙奈子ちゃんの本来の担当の女性がたまたま資料を見ようと児童相談所に立ち寄ってくれたから誤解は解けたけど、それがなかったら本当にどうなっていたのか……。
一体、誰が虐待なんて嘘の通報をしたの…?。
許せない…、絶対に許せない……!。
だけど今は、そんなことを気にしてる場合じゃないのか。そんな犯人捜しよりも、沙奈子ちゃんと玲那の方が大事だ。
あんなに明るく笑えるようになってた沙奈子ちゃんが、昨日、来支間って人が来た時からぜんぜん笑ってない。それどころか、心まで失くしたみたいに無表情になってる。しかもそれは玲那も同じだった。
そしてこの時、私は気付かなかったんだけど、彼が言ってた。沙奈子ちゃん、昨夜はおねしょしなかったって。これまではもう毎日必ずおねしょしてたのが、何故か止まってたって。
彼と一緒に暮らし始めてからおねしょをするようになったっていう沙奈子ちゃん。それは幸せ過ぎて逆に彼女の体がっくりしちゃっておねしょするようになったんじゃないかって言われてた。それが、あんなことがあった次の日にはおねしょをしなかったんだ……。
私は沙奈子ちゃんを、達さんは玲那をぎゅっと抱き締めた。すると玲那が、ポロポロと涙をこぼし始めた。辛かったんだな…。
彼も、私も、沙奈子ちゃんも、涙が込み上げてしまった。
だから私達は、四人で抱き合った。抱き合ったまま泣いた。もう何が何だか分からないけど、とにかく泣いた。そうして布団を敷いて、四人で固まるみたいにして眠ったのだった。
翌朝、寝てる間も泣いてしまってたのか、ひどく瞼が腫れぼったい感じがあった。そのままで朝食の用意をしてたら彼も起きてきて『おはよう』って声に出さずに言ってくれた。だけど……。
「ひどい顔…」
ってつい口に出てしまった。だって彼の顔も、ホントにひどかったから……。
でもそのまま、キスを交わした。夫婦になって初めてのキスだった。
私は別に結婚に対して憧れとか持ってたつもりはないけど、それにしたって『これはない』って気分だったな。同じ結婚するならやっぱりもっと楽しい感じでしたかったっていうのは正直ある。
けれど、もしかしたらこれもある意味では私達らしい<結婚>かもしれない。お互いに支え合うために、お互いに力になるために、その手段として結婚するなんてね。
あんなに強く振ってた雨も上がって、外がすごく明るくなってた。
沙奈子ちゃんと玲那も起きてきて朝食にする時に改めて見ると、包帯でぐるぐる巻きになった左腕を吊った沙奈子ちゃんの姿が、玲那の固い表情が、胸を締め付けてくる。
塚崎さんっていう、沙奈子ちゃんの本来の担当の女性がたまたま資料を見ようと児童相談所に立ち寄ってくれたから誤解は解けたけど、それがなかったら本当にどうなっていたのか……。
一体、誰が虐待なんて嘘の通報をしたの…?。
許せない…、絶対に許せない……!。
だけど今は、そんなことを気にしてる場合じゃないのか。そんな犯人捜しよりも、沙奈子ちゃんと玲那の方が大事だ。
あんなに明るく笑えるようになってた沙奈子ちゃんが、昨日、来支間って人が来た時からぜんぜん笑ってない。それどころか、心まで失くしたみたいに無表情になってる。しかもそれは玲那も同じだった。
そしてこの時、私は気付かなかったんだけど、彼が言ってた。沙奈子ちゃん、昨夜はおねしょしなかったって。これまではもう毎日必ずおねしょしてたのが、何故か止まってたって。
彼と一緒に暮らし始めてからおねしょをするようになったっていう沙奈子ちゃん。それは幸せ過ぎて逆に彼女の体がっくりしちゃっておねしょするようになったんじゃないかって言われてた。それが、あんなことがあった次の日にはおねしょをしなかったんだ……。
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