219 / 255
心配してくれてありがとう
しおりを挟む
この来支間って人の口ぶりに爆発寸前だった私の耳に、すごく落ち着いた、静かで淡々とした言葉が届いてきた。
「分かりました。それでは僕が行きます」
達さんだった。彼が私をなだめるかのように真っ直ぐに見詰めてきてくれた。それを見た瞬間、私の中の熱や圧力がスーッと収まっていく。しかも、
「心配してくれてありがとう、大丈夫。ちゃんと説明したら分かってもらえると思うから。それより玲那のことを頼む」
その彼の言葉が、私に気付かせてくれた。ハッとなって振り返ると、玲那がまるで石膏像のように血の気の引いた顔で固まってるのが見えた。
『あ…!、ごめん、ごめん玲那……!』
私は、自分の感情にばかり囚われて彼女のことが頭からすっ飛んでた。そんな自分が情けなくて、怒りがどこかへ消えていくのも感じた。
「大丈夫、大丈夫だよ…」
玲那の体を抱き締めて、背中をさする。
私がそうしている間にも、彼は来支間って人と一緒に部屋を出て行ってしまったのだった。
……
…それから、児童相談所の中であったことを詳しく説明する気力は、私にはなかった。この時、玲那がどうしてあんなに固まってしまってたのかその理由を彼女から聞かされて、それでも打ちのめされてしまってたから……。
だけどしばらくして気を取り直して、
「沙奈子ちゃんを迎えに行かなきゃ……!」
って玲那が口にしたから、私も「そうね…!」と、力が入らない自分の体に鞭打って、強い雨の中を玲那と二人で児童相談所に向かって歩いた。場所自体は、スマホで調べたらすぐに分かったから。
なのに……。
それなのに、児童相談所ではやっぱり、
「関係者以外は面会できません」
って受付で言われて、中に入ることもできなかった。
だからせめて沙奈子ちゃんと彼が出てくるまで待とうと思ってた私と玲那の耳に、救急車のサイレンが届いてきた。
それがどんどんこちらに近付いてくる。
「…え?、まさか……?」
と思ったらそのまさかだった。
救急車が児童相談所の敷地内に入ってきて、ストレッチャーが下ろされた。それを押して救急隊員が建物の中に入っていく。
『なに…?、なにがあったの……?』
私は不安で胸が潰れそうになるのを感じてた。
玲那に支えてもらわないと立っていられないくらいに膝に力が入らない。
そして……、
そして再び救急隊員の姿が見えた時、ストレッチャーには小さな人影が見えた。しかも、救急隊員の後に続いて出てきたのは……。
「達……さん……?」
「分かりました。それでは僕が行きます」
達さんだった。彼が私をなだめるかのように真っ直ぐに見詰めてきてくれた。それを見た瞬間、私の中の熱や圧力がスーッと収まっていく。しかも、
「心配してくれてありがとう、大丈夫。ちゃんと説明したら分かってもらえると思うから。それより玲那のことを頼む」
その彼の言葉が、私に気付かせてくれた。ハッとなって振り返ると、玲那がまるで石膏像のように血の気の引いた顔で固まってるのが見えた。
『あ…!、ごめん、ごめん玲那……!』
私は、自分の感情にばかり囚われて彼女のことが頭からすっ飛んでた。そんな自分が情けなくて、怒りがどこかへ消えていくのも感じた。
「大丈夫、大丈夫だよ…」
玲那の体を抱き締めて、背中をさする。
私がそうしている間にも、彼は来支間って人と一緒に部屋を出て行ってしまったのだった。
……
…それから、児童相談所の中であったことを詳しく説明する気力は、私にはなかった。この時、玲那がどうしてあんなに固まってしまってたのかその理由を彼女から聞かされて、それでも打ちのめされてしまってたから……。
だけどしばらくして気を取り直して、
「沙奈子ちゃんを迎えに行かなきゃ……!」
って玲那が口にしたから、私も「そうね…!」と、力が入らない自分の体に鞭打って、強い雨の中を玲那と二人で児童相談所に向かって歩いた。場所自体は、スマホで調べたらすぐに分かったから。
なのに……。
それなのに、児童相談所ではやっぱり、
「関係者以外は面会できません」
って受付で言われて、中に入ることもできなかった。
だからせめて沙奈子ちゃんと彼が出てくるまで待とうと思ってた私と玲那の耳に、救急車のサイレンが届いてきた。
それがどんどんこちらに近付いてくる。
「…え?、まさか……?」
と思ったらそのまさかだった。
救急車が児童相談所の敷地内に入ってきて、ストレッチャーが下ろされた。それを押して救急隊員が建物の中に入っていく。
『なに…?、なにがあったの……?』
私は不安で胸が潰れそうになるのを感じてた。
玲那に支えてもらわないと立っていられないくらいに膝に力が入らない。
そして……、
そして再び救急隊員の姿が見えた時、ストレッチャーには小さな人影が見えた。しかも、救急隊員の後に続いて出てきたのは……。
「達……さん……?」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
今、夫と私の浮気相手の二人に侵されている
ヘロディア
恋愛
浮気がバレた主人公。
夫の提案で、主人公、夫、浮気相手の三人で面会することとなる。
そこで主人公は男同士の自分の取り合いを目の当たりにし、最後に男たちが選んだのは、先に主人公を絶頂に導いたものの勝ち、という道だった。
主人公は絶望的な状況で喘ぎ始め…
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる