私が異世界物を書く理由

第二幕

人間ってさ、他人がやってることはよく見えるけど、自分のことって本当に見えてなかったりするよね。 スーパーとかで 大きな声出してきつい言葉で

人間ってさ、他人がやってることはよく見えるけど、自分のことって本当に見えてなかったりするよね。

スーパーとかで親が大きな声出してきつい言葉で子供にあれこれ言ってる様子とか、見ててあんまり気分がいいもんじゃないんだよね。ましてや、

『痛い目見るか？　足の指、切り落としてやろうか？』

なんて脅してるのを見たら、気分悪いどころか普通に『通報した方がいいかな？』って思うよ。でもそうするとまた、

『余計なことすんな』

『他所の躾に口出しすんな』

『正義マンはこれだから』

『世知辛い世の中になった』

とか言うんでしょ？　自分が周りからどう見られてるか思われてるか、考えることさえしないで。そんな親の姿を見て育つ子供が何を学び取っちゃうか考えもしないで。

その一方で、他人がやってることについてはそう感じるけど、でも自分も結局同じようなのをやってたりするっていうのはあるよね。しかも『自分は違う』って思ってたりとか。

私もそういうのすごく気を付けなきゃって思ってるんだ。こんな風に自分で言葉にするのも、自分自身を省みるために役立てるのが目的だしね。私が自分を＜立派な人間＞だとは思わないのも、自分を卑下するためじゃなくて、どこまでも客観視するためなんだよ。

 自分を客観視しないから自分自身の過去の発言に足を掬われたりもする。せめて自分自身の発言くらいはちゃんと把握しておこうよって思う。

親でもいるよね。明らかに矛盾したことを言っちゃってるの。

矛盾したことを口にする人を馬鹿にする一方で自分も矛盾したことを口にする親の姿を見た子供はそれをどう思うかな？

そんな親を尊敬してくれるって思える？　もし思えるんだとしたら、物事を楽観視しすぎでしょ。

何でもかんでも悲観的になる必要はないけど、自分に都合よく解釈しておいてそうならなかったらキレるのなんて、大人のすること？

少なくとも私にはそうは思えないんだよ。

だったら、『褒められないことしてるな』って感じる人の振る舞いを見て自分自身の振る舞いと見比べて、同じようなことをしちゃってないか自分で確かめなきゃって考えても何も不思議はないと思うけど？

でも私がそう思えるようになったのも、

『誰からも教えられることなく』

じゃないんだよ。たまたま出逢った小説からそれを学んだだけ。その出逢いがなかったら、きっと今の私にはなってなかった。自分が上手くできないのを親の所為や他人の所為や社会の所為にして、被害者ぶってたと思う。