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第二幕

ところで、私の知り合いのお父さんがさ、息子さんと一緒にアルバイトを始めたんだって。息子さんが「仕事するのが怖い。自分に仕事とかできんのか不安

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ところで、私の知り合いのお父さんがさ、息子さんと一緒にアルバイトを始めたんだって。息子さんが、

「仕事するのが怖い。自分に仕事とかできんのか不安しかない」

って言ってたそうでさ。だから一緒に同じアルバイトを始めたんだ。単発の派遣のアルバイトをさ。

これについても、世の中には、

『過保護だ!』

『子供を甘やかすな!』

とか言っちゃうのがいるんだろうなあ。

でもね、そんなことを言っちゃう人らが大好きな<昔>ってのをよく見てごらん? 昔の方が、親が子供に自分の仕事してる姿とかを見せたり、仕事の現場に連れて行って手伝わせたりってことをしてたんじゃないの? それこそ親が子供と一緒に仕事をしたりってことも別に珍しいことじゃなかったんじゃないの?

それがいつの間にか親が仕事してる姿そのものを見せる機会も減っちゃって、ましてや親の仕事を手伝うなんてことも減っちゃって、それで仕事ってものを肌で感じることも満足にないままでいきなり社会に放り出されちゃったりするのが普通になっちゃったりしたんじゃないの?

いきなり知らない人ばかりの職場できついこと言われながらこき使わるとかしたら、そりゃ心が折れたりしても別に変じゃないと思うよ? 

だからそのお父さんは、まさに自分が仕事をしてる姿を息子に見せつつ、自分が傍にいる状態で実際の仕事に触れさせることで段階的に慣れさせようとしてるだけなんだよ。

ねえ、どうしてその手間を掛けようとしないの? その手間を掛けるのを惜しんでるから、それを正当化しようとして、『過保護』だの『子供を甘やかしてる!』だの言ってるだけじゃないの? 『過保護』で『甘やかされてる』のは果たしてどっちなんだろうねえ? 昔は掛けてた手間を掛けなくなってそれで子供に対しては、

『甘ったれんな!』

って? どの口が言うの? 恥ずかしくない? そんなのさ。

まあ、恥ずかしくないんだろうね。自分にとって都合のいいように物事を解釈できちゃうぐらいだからね。

正直、それを恥ずかしいとか思ってたらやれないようなことを平然とやってる人もこの世には多いよね。もちろん私もその一人だけどさ。一部の人らからしたら、

<未婚の母>

なんて、それこそ、

『世間様に顔向けできない恥ずかしい有様』

でしょうね。だけど、そんなことを言ってる人ら自身が人間として本当に恥ずかしくない振る舞いができてるのかって言ったら、疑問しかないよねえ。

だからまあ、そういう意味でもお互い様かな。

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