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第二幕

とにかく夫婦や家族のいざこざについて、自分だけを被害者であるかのように語って一方的に相手を貶めてる話についてはそれこそ鵜呑みにしないように

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とにかく夫婦や家族のいざこざについて、自分だけを被害者であるかのように語って一方的に相手を貶めてる話についてはそれこそ鵜呑みにしないようにしなきゃと思ってる。これは私が自分の両親や兄について語ってることを他の人が鵜呑みにしてくれなくてももちろん構わないという意味でもある。なにしろ私があの人らからどんな仕打ちを受けてきたのか、他の人には分からなくて当然だからね。

実感なんかもちろんないでしょ? 自分が家族から家畜のように扱われる実感なんてさ。それこそ同じ経験でもしてない限りは。

しかも同じような経験をしていても、やっぱり完全に同じというわけじゃないしね。

私の場合、兄の性欲処理のためのスケープゴートに利用されようとしてたとは言っても、それが実行されたわけじゃない。

「他所様の娘さんに手を出すくらいならあの子で我慢しておいてもらったらいいよね」

「だな。他に使い道ないだろ。頭も悪いしな」

両親がそんな風に話してるのを何度か聞いちゃっただけだしね。最初は小学生の頃だったかな。

だから実際に家族から性的虐待を受けた被害者の気持ちが完全に理解できるわけじゃない。あくまでなんとなく想像できるっていうだけだ。

それに、『両親がそういってたのを聞いた』って私が言ってても、

『どうせ勘違いだろ?』

とか言う人は必ずいるからねえ。その場にいたわけでもないのにさ。そしてあの人達がどういう人間かを知らないのにさ。

なにより、私のことが気に入らない人は、『私が言ってる』ってだけで邪推して悪いように解釈するでしょ? してるでしょ? 日常的にさ。芸能人とかスポーツ選手とクリエイターとか政治家とか、自分にとって気に入らない人が何言っても信じないし悪い方に解釈してたりするでしょ? それも結局、

『一面しか見てない』

っていう何よりの証拠だからね。

たとえどんな悪辣な人でも間違ったことしか言わないわけじゃないし、悪いことしかしないわけじゃないはずなのに、何を言おうとしようと全部を悪意に解釈するよね。

もうその時点で、

『客観的に物事を見る』

ってことができてないんだよ、『その人のことが嫌い』『その人のことが不快』という自分の主観だけでしか見てない。それが事実。

ま、そう言う私も両親や兄のこととなると一から十までついつい穿ったものの見方をしちゃうけどさ。だからこそ分かるんだよ。

『よっぽど自覚的に意識してないと、人間って主観でしかものを見られなくなるよねえ』

ってさ。

本当におっかない。

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