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第二幕

<子育て>は難しいと、『私には子育てなんて無理』と、私も実際に子供を産んで育ててみるまではそんなことを思っていたりもした。だけどさ、実際に

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<子育て>は難しいと、『私には子育てなんて無理』と、私も実際に子供を産んで育ててみるまではそんなことを思っていたりもした。

だけどさ、実際に産んで育ててみるとそこまで無理難題なことじゃないっていうのはすごく感じたよ。

だってそうじゃん。人間の両親から生まれるのは人間だよ? 別に何か得体の知れない生き物ってわけじゃないんだ。ただの人間なんだよ。普通に人間関係を築ける人であれば、相手を人間として敬い接することができる人であれば、そうしてればいいだけなんだよ。

相手は人間なんだから。

子供を人間以外の動物だとか何か得体の知れない生き物だと考えるから変に身構えちゃうだけじゃないの?

人間以外の動物だとか何か得体の知れない生き物に対応するんだと考えるからどうすればいいのか分からなくなる。

『他人の痛みが分かる人になりなさい』

とかよく言われるけど、親が具体的にそれを実践できていなければ子供だってそんな曖昧な概念的なことを言われたってピンとこないと思うよ?

何しろ親自身が、<自分じゃない人間という意味においての他の人>である子供の苦痛や恐怖といったものを分かろうとしてなかったりするんだもん。

怒鳴ったり叩いたり脅したり、そんなことをされた時に子供が感じる苦痛や恐怖といったものをそもそも親が分かろうとしてないじゃん。それでなんで子供が、<他人の痛みが分かる人>に育つと思えんの? 親がそもそも分かってないじゃん。

それが分かってない親が何で子供に教えられると思うの? てか、正確には、

<それを分かろうとしない親>

と言った方が適切かな。完璧ではなくても、少なくとも分かろうとする姿勢を示していられればまだしも、その姿勢を示すこともなく、それどころかその姿勢を示さない自分を正当化するような姿を子供の前で見せててなんで子供が<他人の痛みが分かる人>に育つなんて思えんの?

本当に謎だよ。そんなムシのいい話があると考える親の姿を見て育った子供が、自分に都合のいいムシのいい話があって当たり前だと考えるような人に育っちゃうんじゃないの?

そう考えると、納得できること腑に落ちることが多いんだけどなあ。

こんな、言葉も分からない、道理も分からない、まともに意思疎通もできない怪物のような巨大生物に囲まれた世界に、自分では自分の身を守ることもできない状態で放り出された子供が感じるであろう苦痛や恐怖を想像したら、人間としてどう接すればいいのか、いくらかでも想像つくんじゃないの?

自分を利口だと思うのならさ。

決して利口だとは言えない私でさえ察することができたんだからさ。

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