私が異世界物を書く理由

第二幕

私は、『自分の子供一人と、見ず知らずの十億人のどっちを取るか？』だったら、間違いなく自分の子供を取るよ。たとえ十億人でも自分と関わりのない

私は、

『自分の子供一人と、見ず知らずの十億人のどっちを取るか？』

だったら、間違いなく自分の子供を取るよ。たとえ十億人でも自分と関わりのない見ず知らずの赤の他人だったら比べるまでもないしさ。でもそれは、どこかの誰かが同じ選択を迫られた時に私や私の子供達が＜見ず知らずの赤の他人＞として見捨てられることも承知した上での話だよね。その覚悟がなきゃこんなこと言えないよ。

だから＜トロッコ問題＞なんて私にとっては何も難しくない。亡くなる人が何人でも自分と関わりのない見ず知らずの赤の他人ならただただ成り行きに任せるだけだよね。そして自分が亡くなるかもしれない側だとして成り行きに任されても仕方ないと思ってる。

まあ、その瞬間は助かろうとしてあれこれ言うかもだけどさ。死んだらそれこそ何も言えないし、たとて死ななくても何もしなかった人に対してとやかく言わないし言えないよ。

『そりゃそうだよね』

って思うだけ。

現実はね、物語みたいにいつだって上手くいくとは限らないんだよ。頭の中で思ってるみたいに自分の体は動いてくれない。あと、介護とかしたことがある人だったら実感あると思うけど、人間の体って思った以上に重いからね？　特に意識を失ってる人って、自分で体を支えることができないからぐんにゃり動いて重心が定まらなくて余計に重く感じるから。

何か重いものを持つ時って、それの重心をきちんと捉えて自分の力がそこに効率よく集中するようにしないと大変なんだよ。力を入れる方向がとっ散らかっちゃって余分な力が必要になるんだ。

寝てる時の子供を抱く時でも実感するよ。ちゃんと重心が自分の力を入れてる部分に収まってないとまともに持ち上がらないしさ。

ましてやそれが大人とかだと、無理無理。

私は自分が善人でも聖人でもないことを承知してるからね。善人ムーブも聖人ムーブもしないよ。できることしかやらない。

その点、もし身近で親に見捨てられた子供がいたら私が育ててもいいとは思ってたりもする。これは私が善人や聖人だからそう思うんじゃない。『できる』からそう思うだけなんだ。できるという実感があるからね。

これまで三人の子供を育ててきたけど、別に四人目でも五人目でも育てられるよ。何も心配してない。結果を受け止められるしさ。

子供にもあくまで私と同じように＜人格＞があるんだからさ、それをわきまえてれば何も心配要らないってのを確認したよ。自分で実際に子供を育てたことでね。