私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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第二幕

『休み明けに学校に行くのを渋る子供を休ませるかどうか』って? そんなのそれぞれの事例で判断するしかないじゃん。一律で、『休ませるのが正しい』

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『休み明けに学校に行くのを渋る子供を休ませるかどうか』って? そんなのそれぞれの事例で判断するしかないじゃん。一律で、

『休ませるのが正しい』

『無理にでも行かせるのが正しい』

なんて答が出せると考えること自体が甘えだって。なんで休みたいのか、どれほど精神的な負担になってるのか、子供によっても違うでしょ。

さくらの子供達や私んとこの次女は、確かに夏休みの終わり頃に、

『めんどくさ~い! 行きたくな~い!』

とか言い出すこともあったけど、当日になれば開き直って普通に通えてたよ。だからその程度で済んでる事例だった。まあ、さくらや私が、

「本当につらくて耐えられそうになかったら先生に言ったらいいからね」

って言って、

『耐えられなかったら帰ってきていい』

と伝えておいたからさ。そしたら気持ちの余裕ができたんだろうね。

<気持ちの余裕>

それが大事なんだって、私は今までの人生で実感したよ。

『本当に余裕がない』

『後がない』

『目の前にあるものをぶち破るしか手はない』

そんな状況なんて、たぶん、一生のうちにそう何度もあることじゃないよ。私だってそこまでの状況は今まで経験したことがない。もしかしたら一生、経験することはないかもしれない。

あ、いや、それに近い状況ならあったかな。三回くらい。

子供達を産んだ時だ。

『もう後戻りはできない』

『中断もできない』

『死ぬかもしれないけど、でも突き進むしかない』

<子供を産む時>

ってさ、そういうものなんだよ。出産の際に、後戻りする、中断する、諦めるってのは、

<子供を殺す時>

なんだ。<子供の命を諦める時>なんだよね。

私には、その選択はできなかった。だから、嫌だけど、本当につらくて苦しくてやめたかったけど、突き進むしかなかった。産むしか選択肢はなかったんだよ。そうすることでしか終われなかった。

あの時くらいかなあ。

でもさ、子供達に会いたかったから、<ダンナの子供達>を迎えたかったから、やれたんだ。

それ以外じゃとてもやれなかった。私にはそれ以外の理由で子供を産む意味なんてなかったんだよ。

私は<女>だけど、<子供を産む機械>じゃない。<道具>じゃない。そんなことのために子供なんて産めない。ダンナ以外の誰かのために子供を産むなんて、真っ平ごめんだよ。

断固お断りだ。『人でなし』と言われようが、『非国民』と言われようが、知ったことじゃないね。私は、私自身とダンナのために子供達を産んだんだ。

そのためになら命も賭けられたけど、それ以外には命を賭けるなんて誰がするか。

だから子供達にも、学校なんかのために命とか賭けさせない。

命を賭けるくらいなら、学校なんて行かなくていい。

あんなものにそこまでの価値はない。

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