私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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第二幕

お互いに穏当に厄介事を切り抜けられたのは、私と先方の<組み合わせの妙>だったと思うし。これでムカつく相手だったりしたらそれこそ相手に関する

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ところで、<非出生主義>を標榜する人にインタビュー、と言うか一応は<対談企画>だったみたいなんだけど、出版社の思うような内容にならなかったからか、その後、私にはお呼びがかからなくなったな。

結局、どっちかがどっちかをボコボコに言い負かす様子を記事にしたかったんだろうなというのがそれで察せられちゃって、私としてもお呼びがかからなくなったのはありがたかった。当時から基本的には<覆面作家>としてやってたから、誌面にも顔は出さなかったしさ。

引き受けたのも『仕方なく』だったし。

インタビューと言うか対談と言うかを引き受けてくれた相手の人も、仕事上の付き合いで渋々引き受けたみたい。で、お互いに傷付け合う形の内容にならなかったことで向こうももうそれっきりにしてくれて。私のこともその後、一切、話題にはしないでいてくれた。

これもまた、ある意味じゃ<出逢い>だよね。お互いに穏当に厄介事を切り抜けられたのは、私と先方の<組み合わせの妙>だったと思うし。これでムカつく相手だったりしたらそれこそ相手に関するネガティブな情報とか流しまくるような陰湿な形で尾を引いてたかもね。

だから、

<非出生主義を標榜してるから非常識なことをする人>

とは限らないんだってこと。あくまでその人にとっては自分自身の境遇についてその考え方がしっくりきただけで、それがすべての人に当てはまるとは考えてなかったんだよね。

だから私も別に、

『非出生主義はダメ』

って言いたいわけじゃないんだ。

『無理のある考え方だな』

ってだけでさ。私にとっては支えにならない考え方だったってだけで、それを支えにする人がいたって別にいいと思う。とにかく問題は、それを人に押し付けようとするとややこしいことになるってだけ。

ましてや人生を楽しめてる人にはそれこそ大きなお世話だしね。

『自分は今の人生を楽しめてない』

ってのは、

『自分以内の人も人生を楽しむことなんてできない』

ってことの根拠にはならないんだよ。それをわきまえなきゃいけない。それをわきまえず他の人にまで<嫌なこと>をバラ撒こうとするから反感を買って余計に嫌な思いをするんだって理解しようよ。

それこそ、

『自分は不幸なのに、幸せな奴がいるのは許せない』

なんて考えは、典型的な<反社会的思考>だと思うよ?

『私が幸せに生きられてるんだからあなただってきっと幸せになれる』

みたいな無責任なことは言わないよ。どこまでも、

『他者の幸せを妬んで幸せになれるわけじゃない』

ってだけの話でさ。

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