私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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第二幕

<非出生主義>は<命>そのものを否定してるし、そうなるとこの<宇宙>そのものを否定することになると思うけど? なぜあなたの個人的な主義主張の

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再度言うよ? <非出生主義>は<命>そのものを否定してるし、そうなるとこの<宇宙>そのものを否定することになると思うけど? なぜあなたの個人的な主義主張のために宇宙そのものが否定されなきゃならないの? この宇宙はあなたのためにあるんじゃないよ?

前にも言った通り、この世に生まれてきたことを喜べるような親の下に生まれてこれなかったことについては、私も<人の親>として忸怩たる思いはある。

『私の子供として生まれてきていたらそんな思いはさせなかったのに』

って思う。

だけどさ、自分が幸せになれなかったからって他の誰も幸せになれないなんて、それは思い上がりが過ぎるってもんだよ。

それと、改めて言うけど、

『生まれてきたら辛い思いをするだけだから子供なんて生むべきじゃない』

みたいなことを言われるの自体が、

<嫌なこと>

じゃん。ダンナと出逢う前の私だったら、

『そうかもね~』

程度に軽く受け流してただろうけど、今の私にとっては、<巨大なお世話>でしかない。<子育ての苦労>だとか<子供を持つことのリスク>とか、そんなのはただのスパイスでしかない。

私はね、みんなで幸せになりたいから子供達に来てもらったんだ。生きるってのは元々、なんでもかんでもが自分の思い通りになるわけじゃない。だからこそ、つらいこと苦しいことはみんなで一緒に支え合って、楽しいこと嬉しいことはみんなで分け合って、そうして生きることそのものを楽しむんだよ。楽しんじゃうんだよ。

それができると分かったから、子供達に来てもらった。生む前にあらかじめ承諾はもらってないけど、事後承諾の形にはなっちゃうけど、きちんと覚悟の上なんだ。

『すべてが自分の思い通りにならなきゃ不幸だ』

なんて、どうしてそんな風に思うようになっちゃったの?

別にすべてが思い通りにならなくたって幸せを掴むことはできるんだよ? 幸せを感じることはできるんだよ?

自分の親がそういう実感を与えてくれなかったからって、それができる親がこの世に存在しないっていう証拠にはならないんだよ。

だいたいさあ、この宇宙そのものに<命>というものが生じてしまった以上は、『生まれる』という事象そのものがこの宇宙自体の仕組みの一部でしょうが。人間だってそう。人間そのものがこの宇宙に生じた命である以上、人間として生まれてくることもあるというのがもう<摂理>そのものじゃん。

自分が子供を生まないと選択するのは個人の自由だけど、何の権利があってそれを他の誰かにまでにまで強要しようとすんの?

この世に<嫌なこと>がたくさんあるからって『自分自身が嫌なことそのものになろうとする』のはやめなさい。

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