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第二幕

私はね、別に<信仰>そのものは好きにすればいいと思ってるんだよ。何かを信じることによって自分を支えるという意味でなら結構なことだと思う。でも

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私はね、別に<信仰>そのものは好きにすればいいと思ってるんだよ。何かを信じることによって自分を支えるという意味でなら結構なことだと思う。でもね、それを、誰かを騙したり利用したりするために用いるのはおかしいって思ってるだけで。

そして何より、私の子供達が、どこの誰かもよく分からない赤の他人が唱えているオカルトに救いを求めずにいられない状態で放っておくつもりは毛頭ないってだけなんだ。

自分を律するための信仰じゃなくてただただ依存するためにオカルトに傾倒しなきゃいけないというのは、どういうことなんだろうね。

まったくもって理解ができない。

とは言いつつ、実は想像できないわけでもないんだけどさ。両親や兄と関わりがあった頃の私自身のことを思い浮かべると、とにかくそういう状況から脱したくて、そういう状況を改善してくれるなら、オカルトでもなんでも頼ってもいいかもと思ってたというのは確かにある。

あとさ、不思議なのが、カルト教団に参加してた家族を連れ戻したのに、結局また元のカルト教団に合流しちゃうっていう例が結構あるって言うじゃん? それってなんだろうね?

それって要するに、自分の家族と一緒にいるよりもその教団の中にいるほうが居心地がいいってことじゃないの?

ねえ、それって何で?

『旅行に行ったら、旅行自体は楽しかったけど、なんだかんだで家に帰った方がホッとする』

みたいなことってあるよね? なのに、わざわざカルト教団に戻っちゃうような人って、自分の家よりも教団の方が居心地いいってこと?

なんでそんなことになっちゃうの? まあそれも、両親や兄と一緒にいることを思うと、簡単に想像もできちゃうけどさ。あんな人達とは一緒にいたくないんだよ。あんな人達と一緒にいるくらいなら赤の他人の方がずっとマシ。

ましてや、自分にとって耳に心地いいようなことを囁いてくれる人達だったらね。

だけど今の家族となら、ダンナや子供達と一緒なら、赤の他人なんかまったくお呼びじゃないんだよね。

さくら達ならまだしも、彼女達以外の赤の他人となんて、比較対象にさえそもそもならない。

一体何を比較できるのって思う。

それを考えると、結局はそういうことなんだろうなって感じるよね。

<肉親の愛情>

<家族の愛情>

そんなものは必ずしも絶対じゃないっていう何よりの証明。私にとっても、実の両親や兄と、今の家族とはまったく等価値じゃない。

たとえ血が繋がっていたところで自分じゃない人間は自分じゃないんだ。そして身勝手な愛情を一方的に押し付けてくるような、『愛情だ』と当人は主張してるだけの一方的な価値観の押し付けは、耐え難い<毒>なんだよ。

それこそ、

『悪い他人がもたらす<甘い毒>の方がはるかにマシ』

というくらいのね。

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