私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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第二幕

人間の歴史上これまでいくつも<滅亡した国>っていうのはあっただろうけどさ、国という形は滅んでも、そこに暮らしていた人達全員が完全にこの世から

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人間の歴史上これまでいくつも<滅亡した国>っていうのはあっただろうけどさ、国という形は滅んでも、そこに暮らしていた人達全員が完全にこの世から消えてなくなっちゃったことってそうそうある? なんだかんだと多くの人が逃げ伸びて生き延びてってしたんじゃないの?

結局さぁ、歴史の資料に名前が残るような人達の動向や趨勢だけが<人間という生き物のすべて>ってわけじゃないんだよ。そういうのは人間という生き物のあくまでごく一部に過ぎないの。

野生の動物だって、一部の特異な性質を持ってたり何か大きな出来事に関わった個体についてはよく知られたりしてそれが代表みたいに思われたりするけど、必ずしもそれがすべてってわけじゃないよね?

例えば、<三毛別羆事件>のヒグマは七人もの人を死なせたり、その凶暴で執念深い気性からまるで怪物みたいに思われてるけど、それがすべてのヒグマに当てはまるわけじゃないよね? あくまで、

『条件が重なるとそうなる可能性もある』

というだけで。

人間だって一部の特異な個体が人間という生き物のすべてを表してるわけじゃないでしょ? そういう悪目立ちする個体の印象が強いのは事実でも。

その手の<一部の事例>だけを見て全体を決めつけてしまうのも人間の悪癖だけどさ。

いずれにしても、

『結局は暴力が問題を解決する』

なんてのも、物事を一面からしか見てないからそんなことが言えちゃうだけでしょうが。

いい? 

『暴力で衝突を終わらせられるのは、相手が暴力はもうこりごりだって思った時だけ』

なんだってのをよく理解することね。相手が徹底的に暴力で何とかしようと思ってるのが<終わらないテロ>ってことだってさ。

そして、

『身を守るために力を行使する』

のと、

『暴力で問題を解決しようとする』

というのとは根本的に別物だってのもね。

『暴力でしか問題を解決できない』

なんて双方が思い込めば、衝突は永遠に終わらない。そしてそれを終わらせるために相手を丸ごと消し去ってしまおうとするような国は、他の国から危険視されて疎まれる。これが事実。

暴力は<道具>にはなるかもしれないけど、<万能の解決法>なんかじゃないの。

そう。

『暴力はただの道具』

『道具はどんな時でも万能とは限らない』

『万能を目指した道具は結局はどの場面でも中途半端なだけで終わる』

ってことだよね。

加えて、道具を過信したり適切じゃない使い方をすると痛い目を見るしさ。

その辺をわきまえてないとやっぱりダメなんじゃないの?

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