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第二幕

『力を理性的に使う』ためにはね、まず、『この力の使い方は適切なのだろうか?』ってのを考えるところから入らなきゃダメだって私は思ってる。じゃな

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『力を理性的に使う』

ためにはね、まず、

『この力の使い方は適切なのだろうか?』

ってのを考えるところから入らなきゃダメだって私は思ってる。じゃなきゃ、人間っていくらでも残酷なことができちゃうからね。

自分を正当化できる理由があればいくらでも理不尽で残酷なことができるのが人間ってもんでしょうが。それを裏付ける実例なんて、それこそ腐るほどありふれてるでしょうが。

確かに、咄嗟の場合にはそこまで考えてられないと思う。まずは自分と自分の周りの人間の命を守ることが優先されるのは分かってる。その瞬間に『つい』ってことがどうしても付きまとうのはあると思う。でもね、だからって何でもかんでも正当化してちゃダメなんだよ。

何も考えずにただ力を振るいたいなら、人間なんかやめて服も道具も全部捨てて野生の獣に戻るべきでしょ。で、それで人間に対して攻撃するなら、『人間の命を守るために』駆除されることもあるってのを受け入れなきゃね。

それが嫌なら、なんでその無駄に大きな頭を持ってるのかを考えなさい。

考えなきゃそれこそ無駄にしかならないからさ。

加えて、野生の獣だって別に何でもかんでも暴力で解決してるわけじゃないはずだよ? 

『危険を察知したらまずは逃げる』

ってのが、当たり前の対応だってのは分かってるじゃん。熊とかだって、人間とかの気配を感じたら基本は逃げるっていうよね? だけど、人間に近付いたら餌にありつけるって学習しちゃうと恐れなくなるから餌付けはだめだし、人間が<いい獲物>になるってことを学習しちゃった熊はそれこそ人間を狩ろうとするってだけじゃないの?

うん、熊の側からしたら単に、

『餌にありつこう』

としてるだけで、暴力を振るうことが目的じゃないよね?

なのに人間は、自分が暴力を使いたいからってそれを肯定しようとするんだ。本当に始末に負えない生き物だよ。

加えて、

『暴力こそが問題を解決する』

って話が<嘘>だって根本的な話をしてあげる。

『暴力で相手を屈服させるというのは、相手がその暴力を拒絶しなきゃ成立しない』

それが事実。分かる? 相手が暴力を肯定し、暴力での解決を望む限りは終わらないんだよ。大国がどれほどテロ組織を攻撃してもテロが終わらないのも結局はそれ。テロリストを何人殺してもテロリストが生まれてくる背景が解消されない限りいなくはならない。<テロ組織>の構成員を皆殺しにして壊滅させたって、別のテロ組織が立ち上げられるでしょ?

テロをやめてもらうには、<テロという暴力>を否定してもらうしかないんだよ。

言い換えれば、

『テロという暴力を否定できる背景を作り上げるしかない』

ってことかな。

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