私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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第二幕

『育てるのが嫌だから養子に出すとか、そんなことできるわけないだろ!』って? んん~? 『育てるのが嫌だから養子に出す』のはできなくて、『子供

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『育てるのが嫌だから養子に出すとか、そんなことできるわけないだろ!』

って? んん~? 『育てるのが嫌だから養子に出す』のはできなくて、『子供を殺す』のはできるの? いくら何でもそれおかしくない?

なんで『養子に出す』ことよりも『殺す』ことの方が簡単になっちゃうの? ハードルが低いの? それってまともな感覚って言えるの? 

昔、どっかの国でとんでもなく社会状況が悪くなった時に、自分の子供をお金持ちに売っちゃう親が続出したってことがあったらしいよね。それも一日分の食費になるかどうかっていうような金額で。

それを聞いて、

『子供を売るなんてひどい親だ!』

って言うかもしれないけど、考えてもごらんよ。一日分の食費になるかどうかっていう金額だったら、それこそ親子揃って泥棒でもした方がまだマシなんじゃないの? だけどそうじゃなく、『お金持ちに売る』って点がミソだよね。

『お金持ちに買われたら、もしかしたら自分のところにいるよりもまだ少しはマシな暮らしができるかもしれない』

そんな想いがあったとしたらどう?

もちろんそんなお涙頂戴の話じゃなくてただ単に本当に目先のお金のために子供を売った場合だってあっただろうと思うけど、少しでも可能性のある方に賭けるという判断だってあったかもしれないよ?

少なくとも、『育てるのが嫌だから殺す』とかよりはマシな気がするけどね。

だからさ、殺すぐらいなら養子に出しちゃおうよ。正直、私だって身近でそんな話があったら引き取ったって構わないよ。

って言うか、実際、娘の友達にそういう感じの子がいるんだよね。両親共に子供に対する愛情なんかまるでなくて、その所為もあってその子、かなり問題行動がひどかったんだよね。いきなり大きな声を上げて暴れたり、その場にあるものをメチャメチャにしちゃったり。

だけどその子、朝の集団登校の待ち合わせの時に体調崩して吐いちゃったことがあって、その時に娘が気遣ってあげたんだよね。そしたらさ、娘に懐いちゃってさ。

その子の両親、これっぽっちも自分の子供のことを愛してなくて、でも、『子供を施設に預けるなんて体裁が悪い!』と思ってるらしくてね……

うちに遊びに来るようになって娘に構ってもらえるようになってからはちょっとずつ元気になっていったし問題行動も収まっていったんだけど、残念ながらそれ以上のことは私達にはできなかった。

なにしろ、その子の両親は、自分の体裁を守るために子供を手元に置いとこうとしてたから。

児童相談所が面会しようとしても会おうとしないし、手の打ちようがないんだ。

だから、娘と遊ぶことで少しでも癒されてくれたらと思ってる。

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