上 下
640 / 1,109
第二幕

これも、何度も言うことだけど、私は自分が親だからこそ親に対しては厳しくなるんだよね。だってさ、甘えすぎたりしないように自分自身に言い聞かせよ

しおりを挟む
これも、何度も言うことだけど、私は自分が親だからこそ親に対しては厳しくなるんだよね。だってさ、甘えすぎたりしないように自分自身に言い聞かせようと思うとそうなっちゃうんだよ。別に親を攻撃したい訳じゃない。

だいたい、誰かを攻撃しようなんてすると、たいていの場合はブーメランとして自分に返ってくるじゃん。

『お前が言うな』

って言われるじゃん。そうしたらもう説得力の欠片もなくなっちゃうじゃん。それどころか自分が責められる原因にもなるよね。

やっぱりそれじゃ意味がないと思うんだよ。

『たとえ自分の事を棚に上げてでも、言わなきゃいけないことがある!』

みたいに言うかもだけどさ、だけどそれで『お前が言うな!』って思われてたんじゃ、言ったこと自体が無駄になっちゃわない?

それどころか、逆に相手を意固地にさせちゃうこともあるんじゃないの?

だから、私が親に対して厳しいことを言ってるように思うかもしれないけど、これも決して親を責めたいからじゃない。私の両親に対する素直な感情とはまた別に、あくまで合理的な理由として、

『そういうことしてると結局は自分に返ってくるんじゃないの? かえって面倒なことになるんじゃないの?』

って言いたいだけ。自分のやってること、やってきたことを、一方的に棚に上げていくら偉そうにしたって逆効果になることもあるよって言いたいだけ。

親だってただの人間。子供だってただの人間。どっちもただの人間なんだから、自分が相手からどんな風に接してこられたら反発しちゃうか、どんな風に接してこられたら相手を信頼してもいいかなって思えるようになるか、それを冷静に考えてみたらいろいろ分かると思うんだよね。

怒鳴られて叩かれて言うことを聞かされて、それで嬉しいの? どんな相手からでもそんな風にされてそれで納得できんの?

荒れまくってたすっごい悪学校に熱血教師が赴任してきて、

<体罰を含む熱血指導で次々と生徒が更正していく感動の実話>

みたいなのも昔はよくあったけど、でもおかしいよね? だってその悪学校、主人公が赴任してくる前から体罰も込みで指導してたんじゃないの? だけど生徒達からは反発されてた。

なのに、

『熱血教師である主人公が赴任してきたら、生徒達が教師の言うことに耳を傾けるようになった』

んん~?

よく考えてみようよ。指導に体罰を使っているのはどっちも同じなんでしょ? なのに、主人公である熱血教師の言うことを聞いて、他の教師の言うことは聞かない。

ということは、体罰を使ってるかどうかの問題じゃないよね?



本当に冷静に考えてみようよ。客観的に考えてみようよ。同じように体罰とかを使ってても、生徒が『言うことを聞いてもいい』と思える教師と、『こいつの言うことだけは聞きたくない』と思う教師がいるのはなぜ? 

その違いがどうして生まれるのか冷静に考えてみようよ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私は悪い父と母の、娘だった。かつてのお人形は救われたのでしょうか?

BBやっこ
大衆娯楽
以前とガラっと変わった生活。 わたしは、パパとママの隠していたお人形を見た。 店の倉庫、奥の部屋。代わって祭事に出席してあげると、わたしは健康で過ごせるんだって。 お人形を投げて、倒すのもワザワイを払うためでパパとママがやってた。 秘密にしないといけないお人形。悪いものを代わってもらえて、わたしたちは幸せになる。 …そう教わったとおりではなかったと分かったのは成長してからだった。※序盤、むなくそ悪い展開注意

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

処理中です...