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第二幕

ところでさ、はっきり言うけど、出版社とかと契約している漫画家や作家にとっての読者は、<お客さん>じゃないんだよね。誰と契約しているかを考えて

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ところでさ、はっきり言うけど、出版社とかと契約している漫画家や作家にとっての読者は、<お客さん>じゃないんだよね。

誰と契約しているかを考えてみれば分かるじゃん。出版社と契約している漫画家や作家が契約している相手は、あくまで出版社なんだよ? 別に、読者と売買契約を結んでるわけじゃないんだよ? 読者と売買契約を結んでるのは出版社だよね?

つまり、<読者がお客さん>なのは出版社であって、漫画家や作家にとって読者は<お客さん>じゃないんだよ。

てことはさ、

『読者は客なんだから、客の言うことに従うのは当たり前だ!』

ていう理屈に従うっていうのは、それ、騙されてるんだよ。

出版社と契約せずに直接読者と売買契約をしている場合は、なるほど<読者=お客さん>かもしれない。でもさ出版社と契約して出版社から依頼を受けて、出版者が望んでいるものを提供してる漫画家や作家にとってのお客さんは出版社であって、用意した原稿に出版社の方がOKを出したんなら、漫画家や作家はもうその時点で責任を果たしてるんだよね。

読者=お客さんのニーズを読み切れなかったんだとしたらそれは出版社の責任だよ。出版社が指示するものを出してそして出版社がOKを出したんだから、それが実際に売れるかどうかは漫画家や作家の知ったことじゃない。

それが本来だよね。なのに出版社が、『自分達は責任を負いたくないから』ということで、作品が売れないのを漫画家や作家のせいにしてるんだとしたら、これはもう完全にただの<卑怯>だよね。

だけど同時に、漫画家や作家の<矜持>として、出版社が求めてきたものを上回れる作品をお出しできなかったことに対して悔しいと思うのなら、それは立派な心掛けなんじゃないかな。

大体さぁ、出版社や編集者の言ってる通りのものをお出ししてそれに対して出版社で編集者がOKを出したのに売れなかったんならそれって結局出版社や編集者に見る目がなかったということじゃん。

それに同じ編集者がついてたのに大ヒットする作品とそうじゃない作品があるというのは、結局出版社や編集者が要求してきたの以上のものを漫画家や作家が作ってきたからじゃないの?

そういう意味では漫画家や作家の才能や能力が必要だということ自体は、まあ、変わらないんだろうな。だから私が大ヒットを飛ばせないというのは、なんだかんだ言ってもそういうことなわけだから、出版社や私の担当編集であるさくらのことを恨むつもりもないんだけどさ。

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