私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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人間はね、環境や状況によって<狂う>んだよ。真面目で仕事熱心で誠実そうに見える人でもね、まったく別の面を見せることもあるんだよ。私の両親が

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人間はね、環境や状況によって<狂う>んだよ。真面目で仕事熱心で誠実そうに見える人でもね、まったく別の面を見せることもあるんだよ。

私の両親がまさにそういうタイプだった。よく知らない他人からは、真面目で有能で子供のこともよく考えてる<いい親>に見えてたそうだよ。

でも実際には、父親は職場で部下を罵倒しまくり無理難題を押し付け、自分の失敗は他人に擦り付けつつ他人の成功は自分の手柄にするっていう人間で、母親は今で言う<ママ友のボスママ>で自分の言いなりにならないママは徹底的に追い詰めてそれこそ引っ越しとかに追い込むような人間だったんだよ。

なのに、

『教育熱心ないい親御さんですね』

だって。は! 笑わせてくれる! 体裁を取り繕うのが巧いだけの薄っぺらな人間の正体すら見抜けないでさ。

ま、『ただの社交辞令だった』ってのも今なら分かるけどね。

そんな両親も、息子が職場でのパワハラで部下を自殺未遂にまで追い込んだ件で刑事告訴までされたのをきっかけに歯車が狂いだして、息子だけじゃなく自分達の行状まで掘り起こされて次々訴えを起こされて、今じゃもう見る影もない。

さしずめ<パブリック・エナミー>が如く世間からバッシングを受ける有様だよ。

おかしいよね。『教育熱心ないい親御さんですね』とか言われてたのが今やこれだから。マジで狂ってる。私の両親や兄もたいがいだけど、それにリンチを加えようとしてる世間もね。

そうやってリンチにしようとしてるからあの人達は余計に、

『自分達こそが被害者だ!!』

って考えるんだよ。<多数決>なんて関係ない。

『絶対多数が自分達を批判してるから間違ってるのは自分達だ』

なんてあの人達は考えない。そんなことをすればするほど、<悲劇の主人公>気分が盛り上がるだけなんだよ。

今はどっかのホテルに、それこそ疑惑を持たれた政治家とかがよく利用してるという噂のセキュリティが無茶苦茶高いホテルに隠れ住んでるらしいけど、元の家に落書きとか投石とかされたら、それも片っ端から刑事告訴してるそうなんだよね。

どれほど<正義>を振りかざして追い詰めようとしても、別に実際に被害を受けたわけでもない赤の他人のそれなんかただの<雑音>にしか過ぎないからね。あの人達を追い詰めるなんの力にもならないんだよ。

それどころか、『社会的制裁を受けてる』ってことで、パワハラで部下を自殺未遂にまで追い詰めた件の刑事裁判ですら、判決が求刑に比べて大幅に軽くなったんだよね。

あはは! ダメじゃん! 責めるつもりが援護射撃になってんじゃん!!

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