私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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ところでさ、<嗜好品>で、『感受性が高まって、音楽や映画をより楽しむことができる』とか言ってるのがいるけど、私は作り手側だからこそその考え方

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ところでさ、<嗜好品>で、

『感受性が高まって、音楽や映画をより楽しむことができる』

とか言ってるのがいるけど、私は作り手側だからこそその考え方はおかしいと思う。

だってそうじゃん。それって、

『受け手側の感受性に下駄を履かせて錯覚させよう』

って言ってるのと同じだよ? 笑い上戸や泣き上戸っていう酒癖を持つ人に酒を飲ませて、つまんない作品でも笑わせたり感動して泣かせたりさせようって言ってるのと同じだと思うけど? 深夜テンションだと本当にくだらないことでも笑えてしまったりするのと同じだと思うけど? そんなの、

『<作品の質>を上げることなく<いいもの>のように見せかけよう』

ってだけじゃん。

あと、

『ハードドラッグの中毒患者の治療薬にも使われる』

とか言ってるのもいるけど、冷静に客観的に見てごらん。それって、要するに、

『これで我慢しとけ』

ってことであって、つまり、

『ハードドラッグの中毒患者に『これで我慢しとけ』って言える程度には飛べる』

ってことなんじゃないの? 

加えて、

『ハッピーになれる』

ってのは、

『頭ハッピーになって物事を軽く考えるようになる』

場合もあるんじゃないの? 言ってしまえば、

『頭お花畑になる』

場合だってあると思うんだけど? それじゃ困ることもあるはずだよね?

そもそも、

『自分達にとって都合のいい効果しかない。都合のいいことしか起こらない』

なんて考えること自体がどうかしてる。冷静で客観的なものの考え方ができてない何よりの証拠じゃん。

そして、私は、医薬品としてちゃんと効果があるのなら、医薬品目的で利用するのは構わないと思ってるんだよ。

つまり、

『医薬品として利用できることで救われる人については救われていい』

と思ってるってこと。

その事実を冷静に受け止められないような人に、<嗜好品>としてそれを提供するのが本当に望ましいことなの?

<ただの嗜好品>なら、私は法律を変えてまで提供する必要はまったくないとしか思わない。

何しろ、タバコが有害だとして市場を縮小させようとしていてもなかなか進まない、反発が多くあるという事実を見るだけでも、一度広まってしまったものは後から抑えようとしても簡単にはいかない何よりの証拠じゃん。

しかも、それ自体に攻撃性を高める作用はないとしても、

<嗜好品としてそれを求める人>

に攻撃的な人が多いのも事実だよね? そして、

『攻撃性を抑えるために使う』

と言うのなら、その効果が間違いなくあるのなら、ちゃんと<攻撃性を抑えるための治療薬>として医師の管理の下で処方してもらえばいいじゃん。

違う?

とにかく、自分にとって都合のいい情報しか見ない、信じない、そして『リスクは存在しない』とか抜け抜けと言っちゃうような、物事を客観的に見ることのできない人間は信用できないよ。

いずれにせよ私は、

『ちゃんと効果があるなら医薬品として使われる分にはいいけど、嗜好品としては必要ない』

って立場だってこと。

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