私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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自分だけは『金を払ってやってるんだから言うことを聞け』って態度をとることが許されて、他人が自分に対してそういう態度をとることを

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自分だけは『金を払ってやってるんだから言うことを聞け』って態度をとることが許されて、他人が自分に対してそういう態度をとることを許さないとか、<甘え>以外の何物でもないじゃん。

逆に自分がそういう態度を取られたくないのなら、他人に対してもそういう態度を取っちゃだめじゃん。

『シンプルに考えろ!』

とか言うんなら、これはものすごくシンプルな考え方だと思うんだけどね。

でも、やっぱり、

『他の奴らが『金を払ってやってるんだから言うことを聞け』って態度を取ってるのに自分だけが我慢しなきゃいけないとか不公平だ!』

みたいなことを言って、やめないんでしょ?

まあ、やめたくないんなら、やめなくてもいいのかもしれないけど、その代わり、世の中だって変わらないよね。自分がブラックな職場で『金を払ってやってるんだから言うことを聞け』と言われてコキ使われたって、文句、言えないんじゃないかな。

だって自分が、『金を払ってやってるんだから言うことを聞け』っていう態度で他人を思い通りに操ろうとしてるんだからさ。

私は、正直、そういうの勘弁してほしいから、他人に対してもそういう態度に出ないようには気を付けてるんだよ。

読者の立場として、視聴者の立場として、客の立場として、『金を払ってやってるんだから言うことを聞け』的な振る舞いはしないようにさ。

もし、私の子供達が誰かに対してそういう態度だったりしたら、諌めるよ。売り手側と買い手側というのは、本来、対等な立場なんだから。親として、それをちゃんと教えないといけないから。

それに、漫画も小説もアニメも、とても追いきれないくらいたくさん作られている。その中で自分の好みに合う作品を探すのが楽しいんじゃないのかな。

宝探しみたいなもんだよ。

作っている側が人間であることを無視して、『金を払ってやっているんだから言うことを聞け』って態度をとることが本当にまっとうな人間のすることなのか、もういい加減、考えてみるべきだと、私は思うんだよね。

だから私は、『金を払ってやっているんだから』『読んでやっているんだから』っていう態度の読者の言葉には、それこそ、耳は貸さないんだ。

私は人間で、他人の望む通りに百パーセント完璧に応えることなんて、できやしないんだ。そんなのに振り回されて精神を病むとか、断固お断り。自分好みの作品を自分の力で見付け出そうという努力もしないような怠惰な人間の都合なんて、知ったこっちゃない。

ましてや、自分は『言いたいことも言えない世の中なんておかしい』とか言いながら、創作者が言いたいことを言ったら袋叩きにしようなんて考えるような人間の戯れ言なんかね。

『嫌なら、読まなきゃいい』

『嫌なら、見なきゃいい』

これは、真理だと思うよ。読まなきゃいけない、見なきゃいけない、そんな義務は、これっぽっちも無いんだからさ。

そもそも、この世に存在するすべての作品を読んだり見たりなんて、できやしないんだし。

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