私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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こう言うと今度は、『親以外からの影響を受けることもあるはずだ!』って言うんだけど、いやいや、それ、言ってて気付かない? 『親が、子供に

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でさ、こう言うと今度は、

『親以外からの影響を受けることもあるはずだ!』

って言うんだけど、いやいや、それ、言ってて気付かない? 

『親が、子供に与える影響力で、親以外の人間に負けてる』

って意味になってることをさ。

親だよ? 普通に考えたら子供と最も近い場所にいて、最も長い時間、一緒にいるはずの人間だよ? それが、他人が自分の子供に与える影響さえ上回れないって、マジなの?

私の子供達も色んな所で色んな影響を受けてくるけど、でもそれがあの子達のすべてを決めてしまうなんてことがあるとは思わないし、そんなことがあっちゃ親としてこれ以上ない恥だと思う。人間として生きる上で大切なことを自分の子供に諭せないなんてやっぱりおかしいじゃん。

ましてや自分の子供が価値観を身につけたことを他人のせいにするとかそれで子供に対して『他人の所為にするな』とか『社会のせいにするな』とか言えないよ。だって、親自身が、他人のせい、社会のせいにしてるじゃん。違う?

ましてや、自分以外の誰かに自分の子供をねじ曲げられてしまったなんて、ドヤ顔で言えるようなこと?

少なくとも私はそんなこと言いたくもないよ。

私は、確実に、赤の他人よりは、自分の子供達に信用されてる自信がある。何しろ、積み重ねてきた時間がそもそも比較にならない。子供達の言葉に耳を傾けてきた密度が比較にならない。

それこそ、子供達が生まれた瞬間からだよ。いや、母親だからそれこそお腹の中にいた頃からか。

ぽこぽこお腹を蹴ってきたら、

「は~い、なんですか~?」

ってお腹をさすって、生まれてからも、

「おなか減った~!」

「おしっこ出た~!」

「ウンチ出た~!」

「眠い~!」

「暑い~!」

「寒い~!」

「怖い~!」

って泣く度に、

「ごめんね~、ちょっと待っててね~」

って応えて、無視はしなかった。私がどうしても相手できない時にはダンナがフォローしてくれた。フォローしてくれるダンナだった。そういうダンナだって分かってたから一緒になったし子供も生めた。じゃなかったら生んでない。

そうだよ。私は子供達の<言葉>に耳を傾けてきた。私には聞き取れないものであっても、私にとって都合の悪いことであってもね。

頭ごなしに否定とかは有り得ない。聞き入れられることであってもなくても、まずは聞く。聞いた上で、もし聞き入れられないことだったらどう対処すればいいのかを、子供達と一緒に考える。

問題の解決方法を一緒に探る。

もちろん、子供達がまともに言葉も話せなかったうちは簡単じゃなかったけどさ。

『どうやって一緒に考えたんだよwwwww』

って? それが分からないのは、自分が親にそうしてもらってないからでしょ? 

自分の<想い>を上手く言葉にできなかった頃に、親に丁寧に話を聞いてもらえなかった。だから、

<自分の<想い>を上手く言葉にできない子供のそれにも丁寧に耳を傾けてくれる親>

ってものが想像できない。

だけどね、それを心掛けてる親もこの世にはいるんだよ。

それだけの話。

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