私が異世界物を書く理由

正直、私だって、今のAI やロボットは、まだまだ｜玩具《おもちゃ》みたいなものだと私も感じているし、五年や十年で、これだけのことを

正直、私だって、今のAI やロボットは、まだまだ玩具おもちゃみたいなものだと私も感じているし、五年や十年で、これだけのことをできるようになるとは思わない。

だから舞台を二百年後にしたんだし。

今からまあ百年後くらいには、まともに使えるヘルパーロボットが実用化されて、そこからさらに百年あればアリサみたいなのも実用化される可能性もあるんじゃないかな。

とにかくアリサは、自身の能力を最大限に発揮して、主人公と徹底的に向き合う。

最初は彼女を疎んで拒絶し蔑ろにする主人公だけど、人間の＜自称・専門家＞なら、ここでキレたりするところだろうけど、ロボットである彼女はキレたりすることも、ない。

しかも、それまでの、いかにもロボット然としたヘルパーロボットと比べれば人間としか思えない彼女の在り様に、主人公も徐々にほだされていく。

ただ、このあたりの匙加減は難しそうだ。あんまりあっさり主人公の態度が軟化すると茶番にしか見えなくなりそうだし、だからといってあんまり延々と主人公のクズっぷりを描写し続けるというのもクドくなりそうで、どうかと思うしなあ。

でもまあその辺はいつも通りに成り行き任せでいいか。

いずれにせよ、そんなこんなで主人公はアリサに心を開いていくんだ。

その間にも十年の時間が過ぎて、こういう部分も、人間じゃなかなかここまでできないとしても、苦痛や苛立ちを一切感じないロボットだからこその芸当だと思う。

そしてこの時点で主人公は六十歳手前なんだけど、先にも言ったとおり、この世界は老化抑制技術が進歩していて、七十歳くらいで、今の三十代くらいの肉体年齢が維持されることを実現してるんだよね。

だからここからさらに十年をかけて、主人公が自立できるよう目指していくんだ。

そして八十を目前にして、ようやく、一人の人間として、自立を果たすことになる。

でも、残念ながら、主人公と両親の和解は実現しなかった。しなかったけど、それぞれの人生を穏当に歩むことができるようになり、決して＜感動的な結末＞とは言えなくても、なんとか全員が救われることになるんだよね。

ちなみに、両親は、すでに離婚していて、どちらも第二の人生を歩んでる。自分達の息子のことは、

＜思い出したくもない過去＞

として記憶の奥底に封印してね。

一方、両親からの自立は果たした主人公だけど、その後も. アリサにしか心を許せず、彼女との生活を送ることになる。

それでも他人に対して大きな迷惑をかけることもなく、真面目に仕事をこなし、アリサが待つ部屋へ帰る毎日を淡々と送るんだ。